【野球】10連敗中のヤクルトが優勝確率0%の壁をぶち破るには- 奥川の復活が待たれる

 広島に同一カード3連敗を喫し、グラウンドを見つめる高津監督=28日
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 10連敗で優勝確率0%となった高津ヤクルトの雰囲気を一変させるには、奥川恭伸(22)の復活が待たれるところだ。

 チーム史上初のリーグ3連覇に挑んでいるヤクルトは故障者続出もあり、予想外の苦戦を強いられている。27日には早くも自力Vが消滅。現在、1引き分けを挟んで今季ワーストの10連敗中で借金は11まで膨らんだ。交流戦を前に首位・阪神とは14・0ゲーム差。クライマックス・シリーズに出場できるリーグ3位の広島にも6・5ゲーム差を付けられている。2リーグ分立以降、10連敗を喫したチームがペナント・レースを勝ち抜いた例はなく、まさに崖っぷちだ。

 だが、私が担当していた1992年の野村ヤクルトも同じような状況があった。開幕前は優勝候補に挙げられていたが、前年14勝を挙げたエースの川崎憲次郎氏(52)がキャンプ中に負傷し戦線を離脱。先発に固定できたのは西村龍次氏(54)と現ヤクルトスカウトの岡林洋一(55)の2選手という状況だった。

 5月には一度首位に浮上したが、その後は勝ち負けを続け前半戦はなんとか3位を死守。その後、首位に再浮上したものの勝負どころの9月5日の大洋(現DeNA)戦(横浜)から16日の同カードまで1引き分けを挟んで9連敗し、3位に沈んでいる。

 このピンチを救ったのが、故障のため長らくチームを離れていた選手の復活だった。この年、右ヒジを故障していた故高野光氏が1076日ぶりに勝利投手となり、ローテーションに加わった。また、右肩の故障で戦列を離れていた現ヤクルトの伊東昭光編成部長(60)が1029日ぶりの勝利を完封で飾り復活を遂げている。

 中でも9月24日、右肘の故障や椎間板ヘルニアなどで4年以上も戦列を離れていた荒木大輔(59)の1軍復帰はターニングポイントだった。その日の広島戦(神宮)で1541日ぶりに登板を果たしただけではない。14年ぶりの優勝がかかった10月10日の阪神戦(甲子園)では先発し5回1失点と好投し、故野村監督の胴上げに貢献した。

 現在、故障者も続出しており、高津臣吾監督(54)は「早くチームがベストの状態に戻るように」と話している。もちろん、29日現在、9本塁打、27打点こそ記録しているが、打率・217と苦しむ村上宗隆(23)の完全復活も含まれるだろう。だが、21年シーズンに9勝4敗、防御率2・25と活躍。史上最年少のクライマックス・シリーズMVPにも輝きながら、2021年以降はコンディション不良に苦しんできた奥川の1軍昇格を心待ちにしているのは間違いない。奥川は27日のイースタン・リーグ、巨人戦(ジャイアンツ球場)で実戦復帰後5度目の登板を果たし、6回途中3失点ながら85球を投げて1軍復帰に向けて前進している。

 確かに数字上は3連覇は難しくなった。だが、野球に絶対はない。30日からは昨季、全チームに勝ち越した得意の交流戦が始まる。まだまだチャンスは残されているはずだ。(デイリースポーツ・今野良彦)

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