【野球】大谷翔平の「手のひらタッチ」タッカーが右手を差し出した理由「彼をけがさせたくなかった」敵地が笑いに包まれる
敵地スタンドから笑いが起こった。エンゼルスの大谷翔平投手が登板した2日(日本時間3日)のアストロズ戦。見る者の心を和ませたシーンは六回だ。
先頭打者タッカーの当たりは一塁側のボテボテのゴロ。素早い反応で打球を処理した大谷は一塁ベース前で待ち構え、タッカーの走路を遮断した。すると相手は「参りました」と言わんばかりに右手をそっと差し出す。そこに大谷はボールの入ったグローブでタッチ。ベンチに戻るタッカーの背中を右手でポンとたたいて見送ると、球場は笑いに包まれた。
一夜明けた3日の試合前のクラブハウス。取材に応じたタッカーは「僕が走り抜ける前に彼はボールを捕って僕の前にいたからどうすることもできなかった。自分もけがをしたくなかったし、彼をけがさせたくなかった。何をやってもアウトになっていたから僕は立ち止まってタッチをしてもらおうと手を出したんだ」と説明した。
対面した2人は言葉を交わしたように見えたが、「ただ、僕の前で『行かせねぇよ』って感じだった」と、“あうんの呼吸”だったことを明かしたタッカー。手を差し出した行為には「普段はやらないし、ピッチャーが走者の前に立つなんてこともないからね」と言って笑った。
長年の記者生活において初めて目にしたプレー。記者席から見ていた記者同様、スタンドを埋めた観客の笑いを誘ったことには「面白かったね。もちろんヒットを打ちたかったけど、ファンが楽しんでくれてうれしかったよ」と言った。(デイリースポーツ・小林信行)