【野球】広島ドラ1右腕の長男 親子2代での甲子園出場狙う 呉港・山根大知外野手が最後の夏に挑む

 高校野球・沖縄大会の抽選が行われ、各地でも夏の甲子園をかけた地方大会の抽選がはじまる。広島で86年ぶりの夏の甲子園を狙う古豪・呉港には、親子2代での甲子園出場に向け最後の夏に挑む代打男がいる。山根大知外野手(3年)は、1993度ドラフトで岡山南から広島から投手として1位指名された山根雅仁編成・ファーム担当部長(48)の長男だ。

 6月3、4日にはベンチ入りへの最後のアピールとなる関西遠征があった。3日、春季大阪大会ベスト8の東大阪大柏原との練習試合。代打で出場した山根は、ライトフェンス直撃の二塁打を放って存在感を示した。

 夏の大会まで1カ月あまりとなり「一発勝負というときに打てるようにしたい。目標は甲子園で勝つこと。残り1カ月、3年間やってきたことを悔いの残らないように出すだけ」と目を輝かせた。

 父は、岡山南のエースとして93年夏の甲子園に出場。サイドハンドから直球とキレのあるスライダーが持ち味で高校日本代表にも選ばれた。その年のドラフト会議では広島から1位指名を受け入団。ケガもありプロ6年で勝ち星は挙げることはできなかったが、今も編成・ファーム担当部長としてカープの一員として活躍する。

 「小さいころからプロでの映像や高校時代の甲子園での映像を見ていた」

 偉大な父の影響を受け野球をはじめた。「父は1年の半分くらい遠征なんで、あまり野球に関して話はしない。酔っぱらったときに野球の話をするくらいだった」と笑った。

 ただ、高校進学時は「呉港の練習に参加して雰囲気が良かった。監督さんのことも父から『間違いない』と聞いていて、この人の元でやりたいと思った」と、カープでコーチ経験豊富な元プロの片岡新之介監督率いる呉港を選んだ。

 広島市内の自宅を離れ寮生活を送る。投手として入学したが、身長170センチ、ライバルひしめく中で1年冬に自慢の打撃を生かして野手に転向した。

 昨年夏は代打としてベンチ入りの可能性もあったが、最後は守備のうまい選手が選ばれ涙をのんだ。最上級生になっても「守備があまりうまくない」と本人も自覚があるだけに、レギュラーの座は険しかった。春の地区大会では背番号「3」を付けたが、県大会では「16」。今夏も代打男でのベンチ入りを狙う。

 片岡監督は「陰ひなたなくまじめに練習をする子。寮でもいつも練習している」と評価する。その一方で「よく打つけど他の選手もよくなっている。メンバー争いも激しい。広陵の高尾(響)クラスを打てるようになってほしい」と、広島大会で最大のライバルとなる広陵のエース撃ちを期待した。

 父のようにチームの柱ではない。それでも努力を続ける山根の姿に片岡監督は自身の息子と姿を重ねていた。

 「カープの山根の息子と回りから言われる。うちの息子も『カープのコーチの子』と言われ苦痛だったと思う。ただ、うちの息子は乗り越えた。山根も乗り越えてほしい」

 片岡監督の長男・寛典さんは、広島商-駒大-ENEOSと野球エリートとして活躍した。投手コーチとして昨年の都市対抗優勝にも貢献。今は社業に専念している。

 「息子が大学3年の夏に娘(姉)と食事をしているときに『父親が野球選手でよかった』と言ってくれたらしい。子どものころはパパ、パパと言っていたのに今はおっさんだからね。同じ野球人として対等に話ができる。そういうのを含め山根も壁をぶち破ってくれたらいい」

 周囲の目がある中で山根は「短所がある分、長所を生かすために努力している」とバットを振り続ける。そんな山根を父は「守備は下手だけど、中学のときはもっと下手だった。あれでもうまくなったんですよ。3年間一生懸命やってくれたらいい」と息子が流した汗を認めている。

 呉港は春5度、夏6度の甲子園出場を誇りながら夏は、1937年から85年も遠ざかっている。父が踏んだ甲子園の土。山根は父と同じ舞台に立つために残りの1カ月あまりを全力で過ごす。(デイリースポーツ・岩本 隆)

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