【野球】阪神・大竹、中日・細川の月間MVPで注目の現役ドラフト 球界発展のためさらなる改善を

 阪神・大竹耕太郎(27)、中日・細川成也(24)の5月月間MVP獲得で注目を集める現役ドラフトは、球界発展のためさらなる改善を目指してほしい。

 大竹、細川は昨オフに始まった現役ドラフトで移籍した選手。大竹は規定投球回数に達していないが、8日の楽天戦(楽天モバイル)戦終了時点で6勝0敗、防御率0・71。細川は8日終了時点で打率・330、本塁打6本、31打点と活躍。同日の西武戦では4番・ライトで先発出場し5打数3安打3打点と気を吐き、チームを勝利に導いた。

 両選手ともかつての所属先であるソフトバンク、DeNAでは伸び悩んでいたが、移籍をきっかけに飛躍し、チームにとってはなくてはならない選手となっている。昨年は導入初年度ということもあり各球団ともに手探りの状態で、1巡指名を終えた時点で終了した。だが、現行ルールでは希望すれば2巡目まで指名することが可能だ。今オフに行われる予定の現役ドラフトでは、2人目の獲得に踏み切る球団も増えてくるだろう。

 支配下選手登録枠の上限は70人で、1軍の試合に出場可能な出場選手登録数は最大で29人という狭き門だ。実力不足の問題は確かにあるが、1軍の試合で出場できない選手には、さまざまな理由がある。同ポジションに、球界を代表するスーパースターがいる場合は、すぐに押しのけることは難しい。また、プレースタイルが現場の指揮官のチーム作り構想と若干食い違っている場合もあるだろう。チーム事情で他のポジションの選手が必要なため、1軍からお呼びがかからないケースもある。だが、現在の所属チームでは活躍が難しくても、そのポジションが手薄な球団に移籍すれば十分に力を発揮する選手は間違いなく数多く存在している。対象者が1チーム2人である必要はない。

 そのためには現行制度にも改善の余地はあるだろう。外国人選手や複数年契約選手、過去にFA権を行使した選手やFA選手、育成選手が対象とならないのは理解できるが、年俸に関しての縛りがあるからだ。主な対象は年俸5000万円未満の選手だが、場合によっては年俸5000万円以上1億円未満の選手を1人対象できる。だが、年俸に関しては12球団それぞれの事情もあり、同程度の実力があっても個人差ある。一概に5000万円未満、1億円未満で線を引くのはどうなのか。1億円以上の年俸の選手でも本人の同意さえあれば対象者に加え、移籍する選手数を増やす手もある。

 1回目の現役ドラフトは成功だったが球界活性化のためにも、制度改革の歩みを止めてはいけないと思う。(デイリースポーツ・今野良彦)

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