プロ野球 なぜ助っ人活躍できず?“当たり”減少の背景 評論家「たまたま続いている感じではない」

 近年、プロ野球で外国人選手が活躍できないケースが目立つ。

 特に野手でその傾向が強く、今季もセ・パ打率10傑に外国人選手の名前はなし。本塁打もセはヤクルト・オスナの9本が最多で5位、パは日本ハム・マルティネスが8本で6位につけている。

 打撃部門のタイトルも、セは19年にDeNA・ソトが本塁打と打点を獲得して以来、3年間なし。パは17年にソフトバンク・デスパイネが本塁打と打点で2冠に輝いて以来、5年間なしの状況だ。

 「助っ人」に何が起きているのか。デイリースポーツ評論家・関本四十四氏は「たまたま不作が続いている、という感じではない。日本の投手力が格段にレベルアップしたことと、分析能力が上がったことが上げられるんじゃないか」とした。

 日本野球の進化は著しい。プロ野球では2010年代半ばから各球団にトラックマン(高性能弾道測定器)が浸透し始め、特に投手の技術向上が加速。150キロ台後半の直球を投げる投手は珍しくなくなった。侍ジャパンが世界一に輝いた3月のWBCでも、大谷やダルビッシュだけでなく、佐々木朗や山本ら日本球界を代表する投手が活躍した。

 データ解析技術も幅広く進歩した。NPB球団は米マイナーリーグの詳細データを取り扱う会社とも契約し、自軍が興味のある選手だけでなく、ライバル球団が獲得した外国人選手のデータを収集。来日前から相手の助っ人を“丸裸”にすることも可能となった。

 現在、パの打率3割以上がオリックス・頓宮ただひとりという状況を見ても「投高打低」であることが分かるが、加えて、メジャーやマイナー選手の境遇の変化も「助っ人人材難」の要因に挙げられそうだ。

 MLBでは20年シーズンからベンチ登録枠が25人から26人に拡大。22年からはメジャーの年俸最低保証額がアップし、選手の生活環境が向上した。同年にはナ・リーグも含めて両リーグで完全指名打者制を導入。かつては日本に来ていたような、“打撃のみ”の選手にも活躍の場が広がった。

 こうした背景もあって、来日しそうな優秀な助っ人候補が減少。昨オフ、阪神・岡田監督は「外国人もホンマおらんよな。レベル下がってるよな。(野手も投手も)両方下がってる」と口にしていた。

 かつてはバースやブーマーが三冠王を獲得し、2000年代ではラミレスやバレンティンらが活躍。だが、助っ人に頼ることができない昨今、プロ野球も新たな時代に突入したと言えそうだ。(デイリースポーツ取材班)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス