【スポーツ】ABEMAは「井岡・武尊戦」を屋外広告でPPV拡大へつなげられるか
ABEMAが6月24日に、世界4階級制覇王者・井岡一翔と、武尊の「THE MATCH」以来の復帰戦を同日PPVで生中継する。PPV購入者数50万件、PPV収益25億円とも言われた昨年の天心、武尊戦以来の人気カードに押し上げることができるか。格闘チャンネルの北野雄司エグゼクティブプロデューサーに聞いた。
ファン層が違うボクシングとK-1タイトルマッチをセットにしたという。これで視聴者数を伸ばせるか。ただ、単独でも視聴は可能。井岡戦は6200円。武尊戦は5800円が、セット料金では9000円と割安にした。狙いについて「ボクシングと、私たちが配信してきた格闘技(K-1等)では、お客さんが違うというのがありました。ボクシングはこれまで地上波でやってきたメディア。一方で格闘技はインターネットで盛り上げてきたメディア。武尊選手は、まだ今のようなスターになる前からずっとABEMAで生中継をやってきた選手だった。インターネット由来のコンテンツとボクシングの2つの層のお客さんに混じり合ってもらえたらというマーケティングの目的がひとつです」。それぞれのファンに2つを取り込むことを目標としている。
ABEMAはネット視聴などで苦戦を強いられているボクシングの視聴者層拡大へも積極的に取り組んでいく試みをみせる。3月には地上波で放映していた「ダイナミックグローブ」が終了するなど、ボクシングは転機にもなっている。これまで地上波放映を続けてきた井岡も次回は初のABEMAでのPPV。「我々はボクシングが人気がないとは思っていません。地上波でずっと2桁の数字をとってきたコンテンツですから。自分自身も子どものころ辰吉、薬師寺戦であったり、畑山さん、竹原さん、川島さん、そういう人たちの試合に胸を熱くしてきた。ボクシングに数字があるというのは確信している。ですから、チャンネルも作って、進出しています」。
格闘技は若年層、ボクシングの視聴者はマーケティングで、積極視聴の高めの年齢層へPPV拡大を広めることが鍵でもある。「ボクシングの方が視聴者層は高いとすれば、ペーパービューを視聴者、コアの方に知っていただくというところがまだまだ足りないのかなと思います。まずは、知っていただくことが最初なんじゃないかなと。そもそもペーパービューを買ってもらえる以前に価値のあるボクサー、ファイターの試合が行われることが世の中に知られないといけないですから。そこを頑張りたい。相当な金額規模でOOH、屋外広告も出していきます」。特に地方ではインターネット動画配信があることを知らない人々が多いことも判明したという。WEB広告、タクシーアド広告などの屋外広告に投資する戦略を練る。ボクシングファンの多い高年齢層にはスポーツは地上波で、無料で見ることが当たり前とされていたが、PPV拡大へ、年配層を取り込めるかが鍵となりそうだ。(デイリースポーツ・水足丈夫)