【競馬】ジョッキーとして父として、さらなる活躍を目指す藤岡康太
夏本番を前に、光る存在感を見せているジョッキーがいる。藤岡康太騎手(34)=栗東・フリー=だ。先週は3勝を挙げ、中でも宝塚記念当日は3戦2勝と気を吐いた。6月は10勝を積み上げて36勝まで勝ち星を伸ばし、全国リーディング11位まで浮上。キャリアハイだった16年の62勝を超えるペースで白星を量産しており、ベストテン入りが見える位置まで順位を上げてきた。
「非常にいい馬に乗せてもらっているので、自分としてもいいリズムで乗れていると思います。これからも一つ一つのレースの質を上げていきたいです」と、向上心を失うことはない。中堅と呼ばれる年齢に差し掛かっても、積極的に調教にまたがって汗を流し、関係者と密にコミュニケーションを取って競走馬と真摯(しんし)に向き合い続けている。
「これから暑い時季になるので、馬自身も体調を崩しやすくなる。その変化を見逃さないように、いい状態で気持ち良く走ってもらえるように、普段の調教から心掛けていきたいですね」
騎乗スタイルも常に試行錯誤の繰り返し。変化を恐れず、トライアンドエラーを繰り返しながら、常により良い形を模索している。
「まだまだかみ合ってはいませんが、自分の中でいいと感じる部分や、バランスがうまくいきだしているところはあります。ちょっとでもうまくなりたいですし、一つでも多く勝ちたいですから」
そのための準備を怠ることはない。自身はどんなに暑くなっても、調教には必ず長袖でまたがっている。「週末は長袖で競馬をしますし、半袖の勝負服はないですからね。普段から慣らしておけば、効果があると思っています」。実戦を意識しつつ、日々自分を磨き続ける。その貪欲な姿勢が、順調に勝ち星を積み重ねる今の原動力となっている。
私生活でも大きな変化があった。6月半ばに第1子となる男の子が誕生。「とにかく、早く家に帰りたいと思うようになりましたね」と目尻を下げる。新たな家族が何よりの元気の源。「父としてより頑張らないと」と、一家の大黒柱として強い決意を口にする。
今週末のCBC賞では、8歳馬トゥラヴェスーラとコンビを組む。実戦では、18年オパールS(11着)以来のタッグ。22日の1週前追い切りにまたがり、栗東坂路で4F54秒7-38秒9-11秒7をマークした。「久々に乗せていただきましたが、年齢を感じさせないいい動きを見せてくれました。中京も得意としているコース。天気予報は良くないですが、馬場が悪くても対応してくれるので気にしていません」と手応え十分だ。
パートナーは、高松宮記念で22年4着、23年3着とG1でも好走しており、確かな実力を兼ね備えている。本格的な夏競馬の開幕を告げる6F重賞。相棒とともに重賞タイトルをつかみ、藤岡康はジョッキーとしてさらなる飛躍を目指していく。(デイリースポーツ・大西修平)