【野球】なぜDeNAのバウアーは放送禁止用語を連発したのか?顔を真っ赤に染めて激怒&絶叫したワケ

 怒り狂っていた。1日のDeNA-中日戦。岡林を打ち取ってチェンジと思ったはずが、挟殺プレーのミスでオールセーフとなった瞬間、DeNA・バウアーが本塁付近でなぜだ?と両手を挙げ、放送禁止用語を連発して絶叫した。

 チームは4連敗中だった。自分で連敗を止めようと意気込んでいた。初回、先頭・大島の二塁打から高橋周に先制打を許し、二回にも大和の失策で背負ったピンチで踏ん張れず、岡林に追加点となる適時二塁打を浴びた。味方のミスが絡んだ場面だったからこそ、余計に0点でしのぎたかった。だが、イメージ通りに試合を描けなかったことに責任を感じていた。

 そして、あの場面が訪れる。六回2死一、二塁。岡林の打球は二遊間に飛んだ。二塁・牧が捕球したが、自身のポジショニングと打者走者が俊足ということもあって、一塁でアウトにすることを諦め、二塁を蹴って三塁に向かっていた一塁走者の龍空を追いかけた。三塁で止まっていた二塁走者の石橋が玉突きではじき出されるように本塁へ向かい出し、牧は捕手の伊藤に送球した。ボールを持った伊藤は三塁に石橋を追い詰めたが、三塁・京田には送球しなかった。それを見て龍空が二塁に戻り始めたが、伊藤は二塁ベース手前に位置した遊撃・大和にも送球せず、オールセーフに。まさかの事態に本塁ベース付近にいたバウアーは両手を挙げてなぜだ?と怒り、「チクショー」をはじめとする放送禁止用語を連発した。斎藤投手コーチが右腕をなだめる目的も兼ねてマウンドに来たが、それでもバウアーは吠え続けていた。

 ただ、2020年にサイ・ヤング賞に輝いた実力はダテではなかった。2死満塁の場面で迎えた高橋周に3球連続で直球勝負を挑み、来日最速タイとなる159キロをマークするなどして投ゴロに仕留めた。ベースカバーに入ろうとした一塁・ソトを制して全力疾走で一塁ベースを踏み、絶体絶命のピンチを無失点で切り抜けた。

 バウアーは試合後、感情をむき出しにした六回の場面について「自分自身をコントロールできていたとは思っていません。誰かに対して腹が立っていた訳ではありません。強いて言えば自分に腹が立っていました。ヒットと記録されていましたけど、自分自身のエラーも不運もありましたし、優勝するための野球が、あのイニングに関してはできていなかった。その状況に腹が立っていました」と冷静に振り返った。

 バウアーはインディアンス時代の2019年にも、五回途中8失点で交代を告げられた際、怒りから手にしたボールをバックスクリーン方向に投げつける失態を演じ、試合後に謝罪する一幕があるなど、瞬間的に血が頭に上りやすい一面があると推測される。

 また、横浜スタジアムでの投手の激怒といえば、阪神時代の下柳剛が、遊撃・田中秀太らのミスに激怒し、マウンドに2度も自らのグラブをたたきつけるシーンが思い出される。

 阪神OBの中田良弘氏は今回のバウアーの言動について「同じ投手として気持ちはすごい分かる」とした。自身の経験談として「新人の時、後楽園での巨人戦で先輩のエラーが絡んでサヨナラ負けした時、ベンチ前でグラブを叩きつけたことがあった。俺としては自分への腹立たしさからだったんだけど、翌日、投手コーチから『先輩たちから何か言われなかったか?ああいう態度はよくないぞ』と注意されたことを覚えてる」と続けた。

 中田氏は「野球はチームプレーだからね。野手がミスすることは当然ある。でもファインプレーしてくれたり、打って自分を援護してくれることもあるわけだし、自分だってフォアボールを出すというミスをすることもある。良からぬ行き違いを生まないためにも、全ての感情を押し殺せとは言わないけど、できるだけ自分の心の中で消化できるようになるのがいいと思う」と助言した。

 ここまで9試合に先発して5勝2敗、防御率3・77。来日初登板から7試合連続で被弾していたが、直近2試合は本塁打を許さず、6試合連続でクオリティースタート(6回以上を投げて自責点3以内)をマークするなど、日本野球への順応を示している。

 中田氏は「変化球をうまく使い始めたよね。しかも、状況に応じて真っすぐの使い方も変えてる。カウントを取る真っすぐと、勝負に行く真っすぐは明らかにギアが違うから。日米でストライクゾーンの違いもあると思うけど、よくやってると思うよ」と分析した。

 1998年以来、25年ぶりの優勝を狙うDeNA。首位・阪神とは1・5差だが、残り72試合、さらに日本野球へ適応していくバウアーが、V奪回を推し進めていく。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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