【野球】完全復活の予感 球宴休みでヤクルト・村上宗隆が覚醒する
球宴休みで、ヤクルト・村上宗隆(23)が覚醒する理由を考える。
7月17日、日本プロ野球の前半戦が終了した。チーム史上初のリーグ3連覇を狙う高津ヤクルトは83試合を終えた段階で35勝46敗2引き分け、勝率・432の5位。首位・阪神とは11ゲーム差と苦しいシーズンを余儀なくされている。
低迷の大きな要因は、昨季史上最年少で三冠王に輝いたシーズン序盤から村神様の調子が上がらなかったことだろう。前半終了時点での打率はリーグ22位の・242。・347で首位打者争いのトップを走るDeNA・宮崎敏郎(34)には1割以上も差をつけられている。
それでも、前半最後の5試合で4本塁打とやっと量産態勢に突入。17日の巨人戦(神宮)ではリーグ2位タイとなる16号3ランを放ち、打点もリーグ3位タイの49打点まで伸ばすなど、両部門でのタイトル獲得も視野に入ってきた。
19日にバンテリンドームで、また20日のマツダでオールスターゲーム(球宴)がある。前年、三冠王を獲得した打者が翌年の球宴に出場できないケースは初めてで、村上にとってはある意味、屈辱かもしれない。それでも、出場しないことが、首位・阪神との2連戦(神宮)から始まる後半戦に向けて大きなプラス材料になることは間違いない。
村上は今年3月に行われたWBCに出場するため、例年とは違う調整を行った。WBCで初戦から活躍し、世界一獲得に貢献していれば、余裕を持ってシーズンを迎えられたかもしれない。だが、本来の打撃の状態でない上に、激戦の疲れが完全に抜けきっていないままシーズンに突入。チーム低迷の責任も大きくのしかかり、歯車が狂ったまま試合数をこなしてきた。
そう考えると、球宴に出ず4日間スケジュールが空くことは意味があり、有効活用できる。若干の練習をこなすことにはなるだろうが、この4日間を休養に充て、心身ともリフレッシュすることができる。また、打撃が低迷した時期の自分の打撃を分析し、修正点をみいだすことも可能だ。修正点が見つかれば、4日の間で打ち込みを行い、感覚を確かめることもできる。
球宴に選出され、その舞台で活躍。勢いに乗り、後半戦ではさらなる結果を残す選手は多い。他球団の選手と情報交換ができるメリットもある。だが、球宴はもちろん通常のペナント・レースとは違い、真剣勝負の場ではない。確かに球宴の舞台に名を連ねなかったことで、プライドは若干傷つくかもしれない。それでも、球宴休みを利用して完全復活し、チームの順位を一つでも上に押し上げる原動力になることが、今の村上に求められている。ファンもそれを望んでいる。(デイリースポーツ・今野良彦)