【野球】阪神・岡田監督が「代わりはおらんよ」と語った梅野の離脱 捕手2プラトン体制での快進撃は色が違ったからこそ…

 5回、死球を受け、ベンチに下がる梅野を心配そうに見つめる岡田監督(中央)ら(撮影・飯室逸平)
 5回、死球を受ける梅野(撮影・飯室逸平)
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 「阪神タイガース5-3東京ヤクルトスワローズ」(13日、京セラドーム大阪)

 試合後、テレビインタビューに答える阪神・岡田彰布監督の表情が冴えなかった。16年ぶりの10連勝、2位・広島に8ゲーム差をつけ眼前に迫った優勝マジック「29」の点灯。そんな好調なチーム状況に暗い影を落としたのが梅野の離脱だ。

 五回、今野の逆球となった一球が左手首付近を直撃した。その場に倒れ込み、苦悶の表情を浮かべた梅野。トレーナーに付き添われながらベンチに戻ったが、再びグラウンドに姿を見せることはなかった。

 岡田監督は代走・坂本を告げ、梅野は試合中に大阪市内の病院で検査を受けた。診断は「左尺骨の骨折」。指揮官は試合後、「今年は無理でしょ」と今季絶望であることを明かした。

 昨年10月の就任直後から「正捕手は梅野」と断言し、坂本とともに扇の要を託してきた。4月に打撃の状態が上がらず、外野から色んな声が飛ぶ中でも梅野を起用し続けた。夏場に向けて状態が上がってくると「大台が見えてきたなぁ」と手応えを口にしていた指揮官。それも理想的と言える捕手2プラトン体制が軌道に乗ったからだろう。

 長いペナントレースを1人の捕手でまかなうのは厳しい。うまく梅野と坂本を起用することで、互いのライバル心を刺激し合い、配球面でも違う色が出ていたように思う。

 2011年シーズン、正捕手の城島が交流戦で右肘を痛めて故障離脱した直後、藤井がマスクをかぶると白星が積み重なった。その理由を当時の吉田バッテリーコーチに聞いたのを覚えている。

 「ジョーと違う色を出せば、相手はこれまでのデータがなくなることになる。藤井もそこを考えていると思うし、これまでの戦いを踏まえつつ、いいリードをしていると思うよ」

 実際に岡田監督は今年のシーズンで、調子の上がらない投手に「気分転換」と普段とは異なる捕手とバッテリーを組ませたこともあった。この日、マウンドに上がった伊藤将は梅野と組んで3連勝中だった。5回3失点と粘って自身4連勝をマークした左腕。間違いなく捕手2プラトン体制が、10連勝の要因の一つとなっていた。

 それだけに岡田監督は「(梅野の)代わりはおらんよ。補充はできるけど。なあ」と率直な心境を明かし「自分で走ったりそんなんでのケガはしょうがないとこもあるけどなあ。デッドボールだけはなあ。まあ、なんかのう」と語った。

 「代わりはおらんよ。補充はできるけど」-。この言葉に岡田監督の梅野に対する信頼がにじみ出ている。勝負の9月へ、このアクシデントをどう乗り越えていくのか。真夏に訪れた試練。それでもチームは前へと進んでいかなければならない。(デイリースポーツ・重松健三)

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