【野球】ペナント制覇に黄色信号が灯ったDeNAにバウアーの去就問題が大きくのしかかる
ペナント制覇に黄色信号がともった三浦DeNAに、今度はトレバー・バウアー(32)の去就問題が大きくのしかかる。
DeNAは首位・阪神との3連戦(横浜スタジアム)に1勝2敗と負け越し。34試合を残し11ゲーム差も離され、崖っぷちに追い込まれた。しかも、現在、首位打者争いのトップに立っていた宮崎敏郎(34)が「左肋間(ろっかん)筋の炎症」のため出場選手登録を抹消される事態となった。
そんなチーム状況の中、“黒船”バウアーが奮闘を続けている。20日の試合で4敗目を喫したが、8回120球を投げ2失点の熱投を演じた。投手分業制が進んだ上、中5日、中6日での登板が当たり前になっている現在のプロ野球では、中4日、場合によっては「中3日」「球数200球」も辞さないバウアーの侠(おとこ)気はDeNAファンだけでなく、日本の野球ファンを熱くしている。
現在、チームはセ・リーグの3位につけており、クライマックス・シリーズ(CS)だけでなく日本シリーズに駒を進める可能性は十分にある。だが、現状だとDeNAのマウンドで投げる彼の姿を体感できる時間は、それが最後になる可能性がある。
今年の3月14日にDeNAがバウアーと結んだ契約は1年で300万ドル(約4億3500万円)といわれている。MLBで投手に与えられるサイ・ヤング賞も受賞している現役バリバリのメジャーリーガーとしては破格の安さだが、それには理由がある。バウアーが2021年にドジャースと結んだ契約は3年総額1億200万ドル(約147億9000万円)。そのため、今季もバウアーには約3000万ドル(約43億5000万円)におよぶ高額な収入があったため、DeNAは300万ドルという年俸でも獲得することが可能だった。
シーズン途中の参戦ながら、最多勝のタイトル獲得も視野に入るなど本来に実力を発揮している。ここ何年かのブランクはあったが先発投手として計算できることを証明しただけに、メジャーでも獲得に乗り出すチームもあるだろう。かつて不起訴になっているが、起こしたとされる女性問題の余波で二の足を踏むメジャーの球団も多いとされるため、来季も日本でプレーする可能性もある。それでも、さすがに今季のように年俸300万ドルというわけにはいかないだろう。マネーゲームになるのは必至だ。
日本の歴代最高年俸は楽天・田中将大の9億円。外国人選手の最高はロベルト・ペタジーニ氏(52)の7億2000万円だ。確かに、バウアーにはDeNAに対するチーム愛は感じられる。だが、その程度の金額では実質の身入りは大幅ダウンとなるだけに、すんなりと契約延長に持ち込めるのか、は予断を許さない。バウアーにはDeNAに対するチーム愛は感じられ、ある程度は情に訴えることはできるかもしれない。そのために、彼に残り試合で優勝争い、日本一に向けたヒリヒリとした戦いを続けるしかない。(デイリースポーツ・今野良彦)
※年俸はすべて推定