【競馬】スポーツ新聞や競馬新聞の調教欄ってどう使うの?

 競馬を予想する上で重要なファクターの一つとしてある調教。中には全く考慮しない人もいるそうだが、身銭を切る馬券購入者の多くは大なり小なり気に掛けるはずだ。

 競馬新聞を例に取ると、たいていは馬柱とともに掲載されており、追い切り場所、馬場状態、タイム、調教強度に手応え。内容を解説する短評が添えられている。併せ馬なら相手のレベルを考慮したり、誰が乗ったかなども。見方は人それぞれだが、馬の能力を表す指標、あるいは状態の良しあしを示すバロメーターとして利用するのが一般的だろう。

 では普段から馬にまたがっている関係者だったらどう見るか?。状態を見極めづらい夏競馬の難しさも相まって、ふと興味が湧いてきた。聞いたのは、今年も全国リーディング上位につける好調の杉山晴厩舎に所属する房野陽介助手。国立大の理工系出身ということもあり話は論理的だ。

 「時計の速さはある程度の能力の証明にはなるけど、全体時計よりも最後の1Fの方ですかね…。それでもやっぱり時計だけじゃ判断できない。競馬と調教のスピードって違いますし直結するかも分からない。その時計がどうやって生み出されたか。抱えて乗ったのか、フットワークはどうかとか。その辺を読み解くのは結構難しいと思います」と至極全うな回答をもらった。

 「それに能力があるのと具合がいいのは違いますから。僕らが状態が良くても、捻挫している(ウサイン)ボルトに勝てないでしょう?」と例に挙げたのは、かつての“人類最速の男”。新馬戦ならいざ知らず、状態の良しあし以前に、当然ながら過去のレース内容なども考慮して能力の絶対値を把握することが大前提という訳だ。

 一方でヒントもある。「最後の追い切りだったら、競馬まで残り2~3日。それまでに調子を落とす馬はいるけど、劇的に良くなる馬はあまり見たことがないです」。となると、新聞の調教欄は、明らかに調子の悪い馬を見つけ出すツールに特化して使う手もアリかもしれない。

 参考までに“いい馬”の見分け方について、同助手が語ってくれたのは馬のフォーム。「一概には言えないですが」と前置きしつつ、「基本的にはストライドが大きくてきれいな馬。ストライドって馬の天性のもので、伸ばそうと思って人間が押しても無駄ですからね」とキッパリ。

 具体例としては、坂路調教では「前脚がどれくらい上がっているか。つまり、トモ脚で強く蹴れているかどうか。滞空時間が長いと言ってもいいです」とし、コースでは「体の軸が水平か。下に波打って走るような馬はあまり…」とのこと。「どちらにも共通しているのは、ゆっくり走っているように見えるけど、時計が出ている馬はいいです」と解説してくれた。

 最後に「調教の記事で『書いてる人、よく見てるな、分かってるな』って内容もありますよ」と同助手。競馬担当となり栗東トレセンに来てもうすぐ2年となる私。馬を見る目が一朝一夕に養われることはないと痛感しつつ、“分かっている”とは言わないまでも、“よく見ている”記事は書きたいと思った次第だ。(デイリースポーツ・島田敬将)

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