【野球】阪神・岡田監督 なぜ糸原に代打の代打・ミエセスだったのか?理由は中日の守護神投入を封じる一手

 「阪神タイガース4-3中日ドラゴンズ」(23日、京セラドーム大阪)

 阪神・岡田監督にとっては勝負の一手だった。1点を追う七回、京セラドームに代打・糸原のコールが響いた。すると中日ベンチは松山から斎藤へとスイッチ。糸原の登場曲が流れ始める中、指揮官は代打・ミエセスを告げた。

 現状、糸原は左の代打で1番手の位置にいる。右の原口とともに、勝負所で使いたい選手だ。そこで岡田監督は中日ベンチが動くとともに、代打の代打・ミエセスを投入。その意図は何だったのか-。試合後の会見でこう説明した。

 「最初は糸原で行こうと思ったけどね。まあ同点に追いついたらマルティネスが来ないからね。だからやっぱりあの回くらいでいってほしかった」

 つまり中日の守護神・マルティネスを出させないためにも、七回で勝負をかける必要があったという。同点で九回を迎えた場合、ビジターの先攻チームはクローザーから投入しないのがセオリーだ。理由は勝ち越した後の裏のイニングを抑える必要があるからだ。

 だからマルティネスが出てくるケースはリードを奪った直後のイニング、もしくは同点の延長十二回とあくまでも“最終回”に限定される。優勝争いをしているチームであれば起用法は変わるかもしれないが、中日はリーグ最下位に低迷。個人タイトルのことを考えても、守護神を投入してくるケースは絞り込めた。

 それだけに最低限、八回までに試合を振り出しに戻せば-。これが岡田監督のゲームシミュレーションだったように思う。同点に持って行ければ、マルティネスを抜いた中日と休養十分でフル稼働できる自軍とのブルペン勝負ができる。九回から十一回の3イニングで勝ち越せば、相手は駒を余したまま敗れる。そこまで考えての代打の代打だった。

 結果的にミエセスが四球を選び出塁。すぐさま代走・熊谷を送った。そして2死から森下の左中間二塁打で一気に熊谷が快足を飛ばして生還。勝負の流れは間違いなく阪神有利に傾いた。

 ミエセスは18日のDeNA戦で代打起用され、惜しくも三ゴロ併殺打に倒れたが打席内容は決して悪くなかった。東のボールをしっかりと見極め、追い込まれてもファウルで粘った。最後は11球目を痛烈に引っ張り込んだが、宮崎の逆シングルの好捕がなければ長打になっていた。

 岡田監督は助っ人の状態を考え、対左投手なら結果を残せる確率が高いと判断したのだろう。東のボールに対応できるのであれば、斎藤にも大丈夫。試合の流れ、自チームの状態、相手投手の技術、すべての要素を理詰めで判断し、“正解”を導き出した。

 延長十一回、2死満塁から大山のサヨナラ打で4時間超のゲームに終止符を打った阪神・優勝へのマジックを「25」に減らした。岡田監督の読み通り、最後までマルティネスは出てこなかった。もし指揮官が七回に代打の代打を起用せず、ミエセスが四球を選んでいなければ…。一方で森下も良く打ち、熊谷も懸命に走った。ベンチと選手、別個のピースがまるでパズルのようにガッチリとはまってつかんだ1勝だった。(デイリースポーツ・重松健三)

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