【野球】もし、恩師・栗山英樹氏が監督なら二刀流・大谷翔平の2度目となる右ひじの故障は未然に防げたに違いない
人災説も浮上するエンゼルス・大谷翔平投手(29)の2度目となる右肘の内側側副靱帯損傷。もし恩師・栗山英樹氏(62)が指揮官なら、故障は未然に防げていたはずだ。
ショッキングな話題が日米球界だけでなく、世界中の野球ファンを悲しませている。二刀流・大谷の右肘の故障が発覚。現地23日のレッズとのダブルヘッダー後、ペリー・ミナシアンGM(43)から「投手として今季はもう投げない」ことが正式に発表されたからだ。それでも、打者としてチームに帯同。敵地で行われる同25日からのメッツ戦にはDHとして出場する予定になっている。
今後の治療に関しては、故障の程度によりヤンキース時代の田中将大投手(34)のような多血小板血漿や幹細胞注射など、手術をしない治療法を試すのか、2018年のように最終的に側副靱帯(じんたい)再建術、いわゆるトミー・ジョン(TJ)手術に踏み切るのか、現段階では分からない。
2度目の手術になれば初回より手術そのものが難しくなり、また長いリハビリ期間が必要となる可能性はある。ただ、複数回の手術は珍しいことではなく、かつてヤンキース、アスレチックス、レッズに在籍したホセ・リーホ氏(58)は5回の靱帯再建術を受けながら、マウンドに立った例もある。日米球界を股にかけて活躍したDeNA・大家友和2軍投手コーチ(47)も3度の再建手術を受けた上、バラバラになった骨をつなぎとめるため、右腕はチタン合金のプレートとボルトを埋め込んだまま現役生活をまっとうしている。
最近の再建術はひと昔前とは違う。私が現役時代に取材していた、元ヤクルトの荒木大輔氏(59)らが手術を受けたころは、ドジャースの医療コンサルタントを務めていた故フランク・ジョーブ博士が第一人者といわれていた。だが、最近ではその術式などはさらに進歩している。大谷なら、もし2度目のTJ手術に踏み切ったとしても必ず二刀流として完全復活してくる。投手としてマウンドに立つのは2、3年後になるかもしれないが、打者としては来季の開幕直後に復帰。5月から打席に立った2019年シーズンのような成績は間違いなく残すだろう。
今回の故障はフィル・ネビン監督(52)以下、首脳陣が体の疲労度の蓄積を考慮して、強制的に休養を取らせなかった人災という部分は否定できない。一度、ひじを故障した経緯があるだけに、定期的にMRI検査を実施するなどの予防策を講じていたのだろうか。
日本ハム時代の指揮官で、3月のWBCで侍ジャパンの監督を務めた栗山氏は「もう二度と(大谷の監督は)やりたくない」「けがをさせたら僕が命を取られても済まない」と発言し、大谷の起用法に万全の気配りをしていた。
確かに今季のエンゼルスはけが人が続出し、大谷頼みだった。それでも、栗山氏なら強制的に休養を取らせていたはずだ。エンゼルスにその何分の一かでも配慮があれば、ここまで大事になっていたのだろうか。(デイリースポーツ・今野良彦)