【野球】阪神Vに導いた岡田監督の人心掌握術 評論家の視点「今の監督はあまりしないけどな」「何をすべきか明確になった」
阪神は14日、18年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた。
2位・広島に13ゲーム差をつけての独走V。デイリースポーツ評論家・関本四十四氏は優勝の一因として、岡田監督の“人心掌握術”を挙げた。
「選手からすれば、ベテラン監督でどこか近寄りがたい雰囲気もあると思う。でも監督も今の時代に合わせて、試合前のグラウンドで若い選手とも対話する姿があったし、マスコミを使ってうまくメッセージも送っていた。佐藤輝には辛辣な言葉を送っていたけど、あれも期待の表れ。結果的にはうまくいったよな」
期待の佐藤輝は6月に不振で2軍落ち。岡田監督は「そんなん試合出られへんようなるよ、そら」などと、マスコミを通して厳しいメッセージを送ったこともあった。この叱咤激励の効果もあって、8、9月は月間打率3割超。13日の巨人戦では19号満塁本塁打も放った。
今季、中野を二塁にコンバートさせ、糸原は代打の切り札として起用した。8月に糸原が代打で決勝打を打つと、「最初からバントなんかね、ないから。糸原は打つ奴やから」。さらりと絶大な信頼感を口にした。
関本氏は「ノムさん(野村克也氏)なんかもマスコミを使ってメッセージを送っていた。今の監督はあまりしないけどな。近本が死球を受けた時も高津監督を強烈に批判してただろう。ああいうのは選手も見ていて、監督は理解してくれているなと思うもんなんだよな」と、振り返った。
岡田監督は昨オフ現場復帰するまで、08年に阪神監督を退任後、オリックス監督も経験。13年からは評論家として、阪神の試合を見続けてきた。
関本氏は「監督は2度やるといい、なんて言われるけど、外から阪神を見ていて選手の個性も課題もよく分かっていたと思う。今年は打線で言えば、チーム全体の四球の数がグッと上がったことも大きいが、岡田監督が査定のポイントを上げるよう球団に掛け合ったなんて話もあったよな。選手ひとりひとり、何をすべきか、というのが明確だったんじゃないか」という。
ドラフト戦略が成功し、19年から4年連続Aクラス。着実に階段を上がっていたチームは、経験豊富な監督のもと、ついに頂点にたどり着いた。(デイリースポーツ・佐藤啓)