【野球】連覇から一転最下位争いのヤクルト 原因と課題は 高津監督「投手力の差」「新しい戦力、新しい血を入れていく大切さ」
ヤクルトは、引き分け以下で最下位という4日の今季最終戦・阪神戦(神宮)に逆転サヨナラ勝ちし、かろうじて5位に踏みとどまった。しかし、リーグ連覇から一転、最下位争いを演じるほどの急激な落ち込みを誰が予想しただろうか。高津監督の言葉から、その原因と来季への課題について迫った。
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苦難のシーズンだった。3月のWBCで世界一に輝いた山田、村上、中村、高橋は激闘の疲れを癒やす時間もなくシーズンに突入し、なかなか本来の実力を発揮することができず。さらに攻守の要ともいえる塩見がキャンプから計3度の離脱。連覇を支えた打線の軸が定まらなかった。
高津監督は最大の原因を「投手力の差」と捉えた。連覇中はゆとりをもったローテーションで先発陣をまわし、鉄壁のリリーフ陣で逃げ切るというパターンで勝ちを重ねた。だが、昨季まで抑えを務めたマクガフが退団。清水、石山とともに勝ちパターンの一角を担っていた田口が新守護神に指名された。そのため、清水と石山の負担が増加。勤続疲労も重なったのか、田口も合わせて3人で22敗を喫した。チーム防御率はリーグ最下位の3・66で、1点差での敗戦が30試合。シーズン中何度も「あと少しで勝ちきれない」と監督が嘆いた通り、接戦での弱さが数字に表れた。
では、来季逆襲を図るために必要なことは何か。指揮官はこう話した。「これから先のことを考えると新しい戦力、新しい血を入れていくことの大切さはすごく感じました」
今季、18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神は大竹、村上、森下ら新戦力が結果を残した。戦力は急に出てくるものではない。スカウトやファームでの育成などが総合的に合わさった結果だろう。
一方のヤクルトは即戦力として期待されたドラフト1位の吉村や新助っ人のピーターズは一定の結果を残したが、2軍からの突き上げは少なかった。既に2人の2軍コーチの退団が発表されており、来季へ向けて外部招集など“新しい血”の注入が予想される。リーグ3連覇を果たしたオリックスや阪神のように現有戦力を維持しつつ、新しい戦力を発掘することが勝ち続けるためのカギになることは間違いない。(デイリースポーツ・高石航平)