【野球】巨人はなぜ歴史的な低迷にあえいだのか「何かが足りないんでしょうね」機動力を欠いた強力打線

 3年連続V逸、2年連続Bクラスに終わった今季の巨人。破壊力のある打線を擁しながらも、歴史的な低迷にあえいだ要因はどこにあったのか-。機動力を欠いたことも無関係ではなく、阿部慎之助新監督(44)の就任で、新体制となる来季への課題も垣間見えてくる。

 今季最終盤。次々と接戦を落とし、原前監督は苦い顔でこう漏らした。「点取りゲームだからね。何かが足りないんでしょうね、このチームにはね」。この言葉にこそ23年の戦いぶりが凝縮されていた。チーム打率・252、164本塁打はいずれもリーグトップだが総得点は523で同3位。阪神は本塁打数が巨人の半分近くの84本だが総得点555でリーグトップだった。

 走力の差も大きいと感じる。一発頼みだった打線。巨人のスタメンには岡本和、中田翔、坂本、大城卓らの強打者が並んだ。主力が出塁した場合、走塁面の問題も抱え、次打者が安打でつないでも“各駅停車”になるケースも多かった。主力に代走が必要で、その後、延長戦などで得点力不足となる悪循環に陥った。阪神の先発野手で代走が必要な選手が限られていた点と比較しても対照的だった。

 巨人のチーム防御率3・39はリーグ5位。最大の弱点の投手力をカバーするため、走力に目をつぶっても攻撃力を強化してきたチーム事情がある。レギュラークラスの高齢化が進みつつあることも無関係ではない。今季限りで退任した原前監督は「ここって時に勝てなかった。振り返ってみた時にね」と語っていた。打線が機動力を欠いたことも、勝負どころで競り負けた大きな要因だった。

 優勝した阪神とオリックスは、質、量ともにそろった豊富な投手力が大きな武器だった。今の球界では投高打低の流れが存在する。阿部新監督の就任で新体制となる来季、投手陣の整備が最重要課題。さらなるテーマとして打線の機動力を上げる必要もある。浅野、萩尾ら打って走れる若手外野手の育成、台頭も不可欠。巨人軍が歴史的な転換期を迎えた。(デイリースポーツ巨人担当・伊藤玄門)

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