【野球】日本ハムに入団した台湾の至宝・孫易磊に第二のオリエント・エクスプレスへの期待が膨らむ

 日本ハムに入団が決まったU-18台湾代表のエース・孫易磊(スン・イーレイ)は、第二のオリエント・エクスプレス、郭泰源氏になれるのか。

 28日から始まる「SMBC日本シリーズ2023」に出場する阪神、オリックスの両球団を含めプロ野球12球団はすでに来季に向け戦力の底上げ、補強に乗り出している。その中で、注目したいのが10月16日に日本ハムと育成4年契約を結んだ孫だ。

 数多くの台湾出身選手をみてきた。巨人で活躍した呂明賜氏や中日、阪神で活躍した故大豊泰昭氏、元巨人の陽岱鋼のプレーは印象に残っているが特に脳裏に焼き付いているのが、西武の黄金期に活躍した郭泰源氏だ。

 同氏は西武在籍13年間で117勝68敗18セーブ、通算防御率3・16の記録を残し、最高勝率のタイトルを2回、1991年にはパ・リーグのMVPにも輝いている。入団1年目の85年6月4日の日本ハム戦(平和台)では、当時54人目となるノーヒットノーランも達成した名投手だ。担当記者として同氏を取材した1996年はすでに全盛時を過ぎており、14試合(先発11試合)に登板し0勝6敗、防御率7・39という成績で彼の活躍を原稿にするチャンスは巡ってこなかったが…。

 だが、そのすごみを体感した出来事がある。1988年(昭和六十三年)の開幕前に実施された「サッポロビール プロ野球トーナメント大会」準決勝・西武-広島戦で、東京ドーム初の“大記録”を達成したからだ。それまで巨人が本拠地として使用していた後楽園球場の横に、日本初の全天候多目的スタジアムとして東京ドームが完成。開幕戦として4月8日に巨人-ヤクルト戦が組まれていた。それに先駆けて当時のセ・パ12球団が参加してのトーナメントが実施されることになっていた。

 私は広島担当としてその大会を取材していた。広島は3月29日の1回戦で大洋(現DeNA)に2-0で勝利。4月3日の準決勝で西武と対戦することになった。その西武の先発が台湾出身の郭氏だった。160キロ近いストレートと高速スライダー、シュートを駆使する投球に山崎隆造氏、正田耕三氏、高橋慶彦氏のスイッチ打者トリオを擁する広島打線は手も足も出ず、6四死球を選ぶのがやっと。気がつけば127球を投げた郭氏にノーヒットノーラン(ノーノー)を許してしまった。

 公式戦ではないが、開幕を目前に控えており、V奪回を目指す広島ナインのショックは大きかった。首位打者にも輝いた経験がある正田氏は「五回までノーヒットだったので、バントヒットでも塁に出ようとしたんだが…」といえば、主軸の小早川毅彦氏も「打てそうな気がしたんですが」と悔しさをあらわにしたものだ。

 公式戦では巨人・槙原寛己氏の完全試合や西武・渡辺久信氏のノーノーの原稿にした経験はあるが、シーズン前にこの手の快投に遭遇したのはその1回だけ。日本ハムはダルビッシュ有や大谷翔平を超一流投手に育て上げた育成に定評があるチーム。台湾の至宝・孫が第二のオリエント・エクスプレスになる期待は大だ。(デイリースポーツ・今野良彦)

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