【野球】侍J・井端監督「今後も勝てない」 パワー重視のメンバー構成の狙い、ソフトバンクから選出ゼロの背景
野球日本代表・侍ジャパンの井端弘和監督(48)が24日、「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ 2023」(11月16日開幕、東京ドーム)に臨む代表26人を発表した。4番に指名したDeNAの牧を筆頭に、阪神の佐藤輝や巨人の秋広、日本ハムの万波ら、長打がある選手を選出。「世界に引けを取らない」と、パワー&スピードを掲げる“井端野球”を前面にしたメンバー構成となった。
「春にWBCで日本が優勝しましたが、その時のメンバーでは今後も勝てないんじゃないかなというところもある。若返りが必要。有望な若い選手が躍動して、さらに国際試合の経験を積み、次のWBCに優勝を狙えるチームにしていきたい」
新監督として、初陣を飾る大会で重視したのは、スピードと長打力だ。まずは「4番は牧」と明言。WBC組からの唯一の選出に「選手同士で、経験を伝えてほしい。どうしても1人は選びたかった」と意図を明かす。今季29本塁打の大砲を中軸に据え、24本塁打の佐藤輝、25本塁打の万波らを選んだ。
WBC決勝・アメリカ戦では村上、岡本和が本塁打を放った。今回、代表入りした選手らには「次世代のホームラン打者として期待している」と井端監督。将来性豊かな大砲候補を多く選出し、国際大会を経験させることでさらなる飛躍を願う。さらに、野手では右打者が6人に対し、左打者が8人と多く入った。ここにも指揮官の独自理論があった。
「左投手だから左が不利だという選手は、いまの日本では少ないと思う。固定観念は僕の中では外して。あくまでもいい選手、打てる選手、いまの24歳以下で、いい順に選んだつもりです」
一方、投手はシーズンの蓄積疲労が考慮され、多くの辞退者を余儀なくされた。その中でも、オーバーエージ枠で守護神を任せる田口に加え、「もっと上を目指せる素材」と今井の出場を強く推した。「経験することが一番、大事。何かきっかけをつかんで来季以降、飛躍してもらいたい」。今大会を皮切りに国際大会はプレミア12、WBC、ロス五輪と続く。世代交代を推し進めながら、世界に誇る常勝ジャパンを作り上げるつもりだ。
一方、ソフトバンクからは12球団で唯一、選出がなかった。今大会の参加資格は24歳以下、もしくは入団3年目以内で29歳までのオーバーエージ枠が3人。正式決定前の候補には、複数数人の選手がリストアップされていた。野手では102試合に出場した三森や、投手では42試合に登板した大津らが対象になるが、最終的には選ばれることがなかった。主力の高齢化が進む一方、若手の伸び悩みを顕著に表す結果になった。(デイリースポーツ・田中政行)