【野球】なぜ独立リーグのドラフト指名が増えたのか 阪神統括スカウトが明かす内情「1年目から勝負しようという子が」
今年のドラフト会議を振り返ると、独立リーグ出身選手の指名が多かった。支配下枠で6人、育成枠で17人と計23人の名前が呼ばれ、最高位は阪神2位の椎葉(四国ILp・徳島)とロッテ2位の大谷(日本海L・富山)だった。昨年は支配下1人、育成8人だったが、一気に増加した。
なぜ、独立リーグ出身の選手が増えたのか。巧みなドラフト戦略で38年ぶりとなる日本一の礎を築いた阪神・畑山統括スカウトは、まず前提として「レベルは上がってきてると思いますね」と分析。元プロの指導者だけでなく、シーズン中にはプロとの交流戦も実施される。実際にプロとゲームを重ねることで、レベルアップにつながりやすい、アピールしやすい環境にあるとも言える。
また阪神では侍ジャパンにも選出された湯浅、貴重なリリーバーとして日本一に大きく貢献した石井が独立リーグ出身。球界を見渡しても、1軍で活躍する選手が増えてきている。
そういう“時代の変化”も重なり、畑山統括スカウトは「大学に行くよりも独立リーグに行って、1年目から勝負。1年目からドラフト対象になるじゃないですか。大学とか行けば4年間、社会人に行っても高校生だと3年間、ドラフトにはかからないというところでは、独立リーグに行けば1年目からドラフト対象になるわけでしょ。そこで勝負しようという子が増えてきている」と要因を語った。
プロアマ規定により大学・社会人に進めばドラフト指名まで一定の期間が必要になる。その間に故障、フォームを崩すなどしてプロへの道を閉ざす選手もいる。「独立リーグで、同じ大学行ったりするのと、同じ3年4年間勝負してみて、ダメなら違う道をという、そこの勝負をかける子が増えてきているのかなと。これだけ独立リーグからも指名が良かったら、してもらえるという流れになってきているのが、余計そういうふうな風潮になってきている」と畑山統括。例え高卒で指名漏れしても、独立リーグで成長できれば翌年に指名してもらえる。特に18歳前後の選手は、一つのきっかけで飛躍的な伸び方を見せるケースも多い。
またプロ側の環境としても「3軍4軍がある球団もあって、育成でもかかる可能性がすごく上がってきている中で、そこで育成でもいいからプロに入って勝負したい。その最短ルートが独立リーグというところもあるのかな」と分析した。今年、独立リーグから多くの選手が狭き門を突破。プロで活躍したい-。その思いがドラフトへ新たなルートを生み出している。(デイリースポーツ・阪神取材班)