【野球】わずか1票で師匠に及ばず オリックスの紅林は源田の教えを生かし、来季こそ守備の勲章を奪えるか
11月10日に三井ゴールデングラブ賞が発表された。セ・パの18部門の中で最も接戦となったのが、パ・リーグの遊撃手部門。その差はわずか「1」だった。名誉ある賞に輝いたのは、6年連続6度目の西武・源田壮亮内野手。一方、僅差で賞を逃したのはオリックスの紅林弘太郎内野手だった。
この2人は球宴で初めてコミュニケーションを図った。紅林は球宴に初出場。その会見で話してみたい選手に源田を挙げ、「グラブさばきと足さばきの両方です」と聞きたいことも明確に考えていた。「やっぱり源田さんは一番いい動きをしている。どういう意識でやっているのかを聞きたい」。そして、7月のお祭り舞台で夢がかなった。
7月20日のマツダスタジアム。源田から話しかけてくれた。源田とノックを受け、守備についての熱い会話。守備は足の動きが大切だと説かれた。
「1歩目の切り方が良くなったので、本当にいい経験になったと思いますね」
それまでは肩の強さに頼っていた部分もあった。ただ、捕球も送球も肝心なのは足の使い方。「守備範囲も去年よりは広くなっている気はします」。シーズン後半、何度も何度も好守備でチームを救っていた。
その表現方法は独特。「すごい技術的なところで難しいんですけど、パパーンと切る。今まではドンッて感じやったんですけど、パパーンと」。本人の感覚でしかわからない。それでも、確実に数字としても表れた。
21年は遊撃で115試合に出場し、17失策。昨季は129試合の出場で11失策だった。そして、今季は127試合出場で6失策。大きく失策数を減らし、抜群の安定感を誇っていた。
ゴールデン・グラブ賞には1票差で届かなかった。源田はWBCでの故障もあり、序盤に出られなかったこともと響いただろう。ただ、来季以降に紅林が受賞する可能性は大いに感じる。師匠と弟子による、ハイレベルな争いを来季以降も期待したい。(デイリースポーツ・今西大翔)