【野球】闘将・星野仙一さんから漏れた言葉 井端侍ジャパン新監督監督の重圧を思う

 11月16日から「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ2023」(東京ドーム)が始まる。井端弘和監督率いる新生侍ジャパンは台湾、韓国などアジアの強国相手にどんな試合を繰り広げるのだろうか。

 3月のWBCでは世界一を奪回した侍ジャパンだが、今大会は29歳以下3人のオーバーエイジ枠はあるが、参加資格があるのは24歳以下または入団3年目以内の選手だ。優勝までの道のりは決して平たんではない。新監督にかかる重圧は想像以上だろう。

 これまで数々の大物監督が侍ジャパンを率いてきた。闘将と呼ばれた故星野仙一さんもそのひとりだが、その星野さんに2008年北京五輪後に聞かされたある言葉がある。

 広島、阪神、日本ハム、ヤクルト、横浜(現DeNA)、巨人、西武の7球団を担当してきたが、星野さんを現役時代、監督時代を通じて直接担当する機会には恵まれなかった。だが、駆け出し記者のころ、星野さんの学生時代からの盟友であるミスター・赤ヘル、山本浩二さんが知己を得るきっかけを作ってくれた。

 星野さんが現役を引退しNHKの解説者として活動し始め、山本浩二さんはまだ現役時代の1986年5月の中日-広島3連戦のことだった。この3連戦は中日のホームゲームで福井、金沢を転戦する北陸シリーズだった。当時は移動日や試合当日でも宿舎での取材が許されており、ネタ集めのために、当時担当していた広島が宿泊する金沢のホテルに顔を出したときのことだ。

 偶然、ロビーで談笑していた星野さんと山本浩二さんに話の輪に加えてもらった。そのとき、浩二さんが「こいつ担当記者なんだけど、しつこくて困るんだ」と紹介してくれたのである。その言葉に、星野さんは笑いながら「こんな所まで取材にくるんか。大変だね。若い記者にはこいつ(山本浩二さんのこと)取材するの大変だろ。頑張れよ」と励ましの言葉もかけてくれた。

 その日を境に顔を覚えてもらい、球場で会話も交わせるようなっていた。その後、私は現場を離れることになったが、08年はデスクとして星野さんが指揮を執る北京五輪の戦いに注目していた。だが、結果は4位。メダルを逃したことで星野さんはたたかれまくっていた。

 そんな星野さんと久々に会話を交わしたのは、同年12月11日に都内のホテルで行われた「山本浩二野球殿堂入りを祝う会」のときだった。取材ではなく元担当記者のよしみで会に招待してもらっていた私は、開式前に星野さんの姿を見つけたあいさつに出向いた。そのとき、星野さんが発した言葉は今も忘れられない。「今回のことで誰が味方で、誰が敵かよく分かった」-。しかも2回、この言葉を繰り返した。壇上では、山本浩二さんを褒めたたえ「数十年間の仲間は裏切らない。ほかの人はすぐ裏切る」と冗談まじりにあいさつしていたが、これは本音だったと思う。

 日の丸を背負う重圧は並大抵ではない。あの日の闘将の言葉がそれを物語っている。(デイリースポーツ・今野良彦)

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