【野球】「野球オタク」侍・井端監督がつかんだ連覇の勲章 平均年齢23・4歳の若侍が見せた可能性

 「カーネクスト アジアプロ野球チャンピオンシップ・決勝、日本代表4-3韓国代表」(19日、東京ドーム)

 世界中に衝撃を与えたWBCの優勝から8カ月。新生ジャパンがアジアの頂点に立った。参加資格は24歳以下、または入団3年目以内。オーバーエージ枠で出場の3人を含み、平均年齢23・4歳と未来を担う若侍だ。まさに“原石”が集った大会で、井端監督は独自色を前面に出した。

 「春にWBCで優勝しましたが、その時のメンバーでは今後も勝てない。若返る必要がある。次も優勝を狙えるチームにしたい」

 勝てない-10月24日の監督就任会見。新指揮官はあえて厳しい言葉を並べた。同大会の象徴になった大谷に、ダルビッシュ、ヌートバー、吉田正と、中心に立ったのはメジャーの実績組。3年後のWBC、野球が復活する28年のロス五輪が控える国際大会で、勝ち続けるために「変革」が必要だと感じていた。

 だからこそ、己の眼力を信じた。18年に巨人コーチの職を辞すと、アマチュア野球に目を向けた。「好きなんです。今、いる選手も学生時代に知らない選手はいないよ」。噂を聞けば北から南まで、地方大会も観戦に行く。苫小牧中央高・根本、筑波大・佐藤隼、西日本工業大の隅田…森下も中大時代に見た。

 「生で見ていないのは、小園選手、藤原選手くらいかな。まだ、コーチだったので。阪神に入った門別君も見に行った。いい選手でしたね。本人たちは知らないんじゃないかな。こっそり行くので」

 自他共に認める大の野球好きだ。最年少で選んだ根本は、初戦の台湾戦で0-0の六回から2イニングを打者6人で完全投球。すると七回、森下の決勝アーチが生まれた。無限の可能性を感じた若侍が躍動する。エースとして決勝の先発に送り出したのは、オーバーエージ枠で選出した今井。故障で紅林が辞退すると迷わず野村を呼んだ。

 2人は代表コーチ時代、12球団視察で見た選手だ。「野村選手なんかは、すごいな…しか思わなかった」。1軍でも活躍しているが、あの日想像した成長曲線ではない。「もっと上を目指せる選手だと思う。この大会をなんとしても、きっかけにしてほしい」。活躍する期待と自信に、少しの願いも込めた26人の選出。ゴールではなく、始まりの優勝だ。

 いい指導者とは-新米監督には信念がある。「共通点は信頼と我慢。自分が信じた選手を呼んだので。次は来年のプレミア。今回ダメだった選手も2回は経験させてあげたい。あとは、やっぱり勝たないと」。育てながら、勝つ。名将と呼ばれた栗山氏の後任は、どこか楽しそうに次なる難局に向かう。野球オタクが手にした1つ目の勲章。課題と収穫を胸に、井端野球で常勝ジャパンを築く。(デイリースポーツ・田中政行)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス