【野球】巨人・阿部新監督 岡田阪神を参考に打線の意識改革 日本シリーズで「すごく出ていた」作戦とは
今季2年連続でBクラスに沈んだ巨人。再建を目指す阿部慎之助新監督(44)は得点力アップへ、大胆な発想の転換に着手するかもしれない。キーワードは打席での“待ち方”。日本一を達成した岡田阪神を参考に四球増を図り、打線のつながりを生む狙いだ。
巨人打線が“24年版”へ変貌を遂げるかもしれない-。3年連続でV逸の今季は攻撃面でも多くの課題を残した。チーム打率・252、164本塁打はリーグトップと破壊力を誇った。だが523得点は同3位で、巨人の半分近くとなる84本塁打の阪神が555得点で1位だった。
巨人が打線のつながりを欠いたことは明白だ。阿部新監督は「打つ、打たないは、なかなか難しい」と“打線は水物”という考えで「チーム打撃」や「自己犠牲」を重要視する方針を打ち出している。
新体制でスタートした今月の宮崎秋季キャンプ。参加した野手陣に打席での待ち方について考えを伝えた。「自分の得意なところを狙う。全部手を出すんじゃなくて。1軍投手を相手に全部は打てないから」という趣旨の内容だった。例えば苦手なコースにまで手を出して凡打を繰り返すのではなく、自分が打てるコースを狙う割り切りも大切。「打ち方」ではなく「待ち方」が重要だという“アベの考え”だ。
キーワードは打席での“待ち方”。チームが発想を見直すきっかけになったのは、阪神の突出したあの数字と無関係ではないだろう。王者は今季、両リーグ最多の494四球で、巨人は100以上少ない365四球だった。なぜ阪神は、ここまでフォアボールを選べたのか-。巨人は徹底的に分析を行ったという。
阪神打者の“待ち方”の傾向も明確になった。カウントによって変更された打つゾーン。追い込まれると低めに手を出さず、打つゾーンを上げた。そして我慢強く、多くの球数を相手に投げさせた。これで投手を疲れさせる、という相乗効果もあったことだろう。
対照的に巨人の打者は、ストライクが来たら初球からでもドンドン打っていく傾向があり、待っていない球にも手を出す“早打ち”だった。積極的に打っていく作戦が正解かどうかはともかく、狙い球を絞り込み、打席で粘るという考えも必要だということだろう。そういう意味では巨人が虎を参考にし、見習うかもしれない。
阪神が、日本一を達成した日本シリーズを観戦した阿部監督は「強かったですよね。打つ人が打って、しっかりと自己犠牲する人はしてというのが、すごく出ていた最終戦だった」と警戒した。今季、何度も苦しめられた虎を今後も徹底的に研究し、上回るほどのチーム力でリベンジを果たしたいところだ。(デイリースポーツ巨人担当キャップ・伊藤玄門)