【野球】阪神・糸原 ミエちゃんを支える裏で怠らなかった準備 胸に刻んだ思い「若い子も見てますから」

 糸原(右)に足を取られるミエセス(10月23日撮影)
 糸原(左)に胸ぐらを掴まれるミエセス(10月19日撮影)
 ミエセス(左)と笑顔で引き揚げる糸原(9月10日撮影)
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 悲願のリーグ優勝と日本一を達成した阪神。原口とともに、チームの精神的支柱を担ったのが7年目の糸原だ。昨秋、岡田監督は就任と同時に、中野の二塁コンバートと佐藤輝の三塁固定を明言。昨季は二塁、三塁を中心に132試合に出場していた糸原は厳しい立場に立たされた。

 契約更改交渉の会見では「毎年競争。結果が全て」と強調。他のレギュラー候補に勝っている点を聞かれると「鋭い、厳しい質問ですね」と苦笑いし「いつチャンスが来るか分からない。しっかり準備していきたい」と覚悟を口にしていた。

 キャンプから主戦場は代打に。シーズンでは新助っ人・ミエセスの相棒、ムードメーカーとしても注目を集める中、大切にしたのは日々の準備だ。一振りのため練習でも手を抜くことはない、そんな背中を見てきたからこそ後輩たちは「原口さん、糸原さんが盛り上げてくれた」と口をそろえたのだろう。

 「今後の野球人生に絶対生きてくるんですよ。そう思うしかないでしょ」。糸原の言葉を聞いて、広島・新井監督の言葉を思い出した。「逆境に立たされた時、苦しい時に人間の本質が見える。真価が問われる」。現役晩年、広島でリーグ3連覇した頃、よく口にしていた。新井監督から助言をもらったわけではなかったが、糸原は「うんうん」とうなずき「そういう時みんな見てる。若い子も見てますから」と続けた。

 今季は69試合で打率・236。過去4度規定打席に到達した男にとっては納得の数字ではないかもしれない。それでも野球人として成長し、誇れる1年になったに違いない。

 日本シリーズ第4戦(甲子園)では三塁守備から途中出場。翌5戦目は0-2の八回無死二塁から代打で左前打を放ち、好機を拡大した。この回、一挙6得点のビッグイニングでチームは逆転勝ち。試合後、「糸原のアレが大きかった」に岡田監督に言わしめた。

 ファンも献身的な働きを知っている。試合を重ねるごとに、糸原の登場にスタンドが沸くようになった。こんな選手がベンチに控えているのだから、阪神は強いはずだ。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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