【サッカー】天皇杯Vの川崎Fが抱いた危機感「タイトルを取らないのが当たり前になるのが怖い」苦難のシーズンで見せた執念

 天皇杯を制し歓喜の川崎イレブン(撮影・金田祐二)
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 J1川崎が9日の天皇杯決勝で柏を破って3年ぶり2度目の優勝を果たした。苦難のシーズンを経てつかんだ栄冠。それは「川崎のサッカー」を貫き通した意義あるタイトルになったと言える。

 川崎の竹内弘明強化本部長は苦難の今季を「本当にケガに悩まされた1年だった」と振り返る。開幕から故障者が相次ぎチームが固まらないままに強いられた戦いは、リーグで一時、15位にまで順位を落とすほどだった。

 ただ、10月以降は公式戦で無敗を誇る。チームが輝きを取り戻した要因を竹内強化本部長は「監督もフロントも中からぶれないというのを意識して取り組んだ」と説明した。

 クラブを取り巻く変化は目まぐるしい。有望選手は短い在籍年数で海外へ活躍の場を求め、サッカーそのものの強度が増したことで、川崎だけでなく他のクラブでも、特にDFが重いケガを負う傾向が見られた。

 「昔は生え抜きを育てて戦力化してきたが、今は難しくなっている。チームで育てつつレンタル(移籍)を駆使するハイブリッドになってきたイメージ」とし、今後の補強ポイントについても「後ろ(DF)はもう少し層を厚くしたい」と時代の変化への対応は常に求められている。

 ただ、だからこそ竹内強化本部長は「もう一回強いポゼッション志向のチームを作らないといけない。より技術だとかを追求していかないと」と話す。高い技術に裏打ちされた攻撃力。川崎の川崎らしさを昇華させることが強豪クラブで在り続け、さらに伝統を作り出す道だとした。

 優勝を経験してきた選手たちの意識も大きな要素。脇坂や山根らが「ここでタイトルを取らないと、タイトルを取らないのが当たり前になるのが怖い。そういうクラブになってしまう」と危機感を口にしていたという。

 チームの窮状は高井、山田ら若手が経験を積む副産物も生んだ。新たな土台を来季へつなげる上でタイトルは不可欠な要素だった。

 「フロンターレが日本のサッカーのベースになれるぐらい突き抜けるのが夢ですかね」と竹内強化本部長。バルセロナやバイエルンのように代表へも影響を与えるようなビッグクラブとなった時、このタイトルが分岐点と語られるかもしれない。(デイリースポーツ・中田康博)

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