【野球】西武ファンへ直接謝罪なくソフトバンク入団会見に臨んだ山川穂高に球界OB、両軍ファンから「幻滅」「残念」の声 清算は長い旅路
国内FA権を行使していた山川穂高内野手が19日、福岡市内でソフトバンク入団会見に臨んだ。笑顔のない異例の入団会見となったが、西武ファンに対して直接の謝罪がないままに「晴れの日」を迎えた一連の行動に、球界OB、西武ファンはもとより、ソフトバンクファンからも「幻滅」「残念」の声が上がっている。
阪神OBの中田良弘氏は「プロ野球選手はファンに支えられて成り立っている職業ということを理解しているとは思うけど、それを行動で示してほしかったね。これだけの時間があれば、どこかでこれまで応援してくれたファンに対して直接思いを伝える機会はあったはずだから。自分のプライベートな問題で球団に迷惑をかけ、今年はほとんどチームに貢献できなかったわけだし」と苦言を呈した。
SNSには西武ファンから「ソフトバンクでも頑張って」「これからもホームランたくさん打ってください」というエールが寄せられたが、「覚悟はしてたけどやっぱりね」「FA宣言した時からこうなると思ってた」「西武ファンは続けるけど山川ファンは辞めるわ」「移籍するならそれなりの手順ってもんがあるよね、山川さん!」「幻滅したよ」といった残念コメントが多くを占めた。
一方、4年ぶりのリーグ制覇に向けて通算218本塁打の長距離砲を獲得したソフトバンクファンの間では賛否の声が分かれた。「小久保監督を胴上げして!」「厳しい声から私たちが守る」というコメントもあれば、他方では「クラブホークス退会するわ」「この球団のコンプライアンスはどうなってんの?優勝できればそれでいいの?」「ファンの気持ちは置いてけぼりか」「ホームラン打っても喜べない」「人的補償要求されたらかわいそすぎる」といった反響が集まった。
西武ファンに挨拶できないまま移籍が決定したことについて山川は会見で「去就が決まっていない状態でしたので、なかなか挨拶できずにすごく悔やんでますし、しっかり自分の口から皆さんの前で挨拶したかったんですが、日程的なこと、ここまで時間が掛かってしまったこともありますので。ファンの方に挨拶するのはここで述べた言葉で挨拶という形になってしまいます。本当に申し訳ないですが」と釈明した。
山川は知人女性への強制性交の疑いで書類送検され、嫌疑不十分で不起訴処分となった後、西武球団から無期限の公式戦出場停止の処分を科された。10月5日に処分確定後初めて取材に応じ、「今回、私の私生活のいたらなさが原因で、ファンの皆様、球団関係すべての皆様に多大なる迷惑をかけてしまい、本当に心からおわびしたいと思います。本当にすいません。チームの戦力になれなかったことも、本当に悔やんでも悔やみきれない気持ちです。これから、プロ野球選手としても、ひとりの父親としても自覚を持って、もう一度信頼、そして応援されるような選手になっていきたいと思っています。この度は本当に申し訳ございませんでした」と謝罪したが、11月14日にFA権行使を表明した際にはコメントを出す形とし、同26日に開催された「LIONS THANKS FESTA 2023」には姿を見せることはなかった。
中田氏は「自分で厳しい道を選んだ訳だからね。1年やそこらで迷惑をかけた人たちを納得させるのは難しい。ただ、これからも野球を続けられる環境があるんだから、野球で恩返ししていくしかないよね」と、これまで以上に野球と真摯に向き合うことを願った。
仮に西武残留を選択しても、逆風にさらされていたと思う。ただ、移籍という道を選んだことで、より強い風に立ち向かわなければならなくなった。山川を待ち受けるイバラの道。どんなプレー、発言、態度で自らの過ちを清算していくのか。長い旅路が始まる。(デイリースポーツ・鈴木健一)