【サッカー】J1川崎 コロナ禍明けで復活した「ブルーサンタ活動」東日本大震災から紡いできた歴史
今季から全席での声出し応援が解禁となるなど、新型コロナ禍からサッカーの日常が戻ってきたJリーグ。そのピッチの盛り上がり以外でも、プロのクラブとしての大切な日常が再開されている。
J1川崎は15、16日に東日本大震災の被災地である岩手・陸前高田市を選手らが訪問。同22日には「ブルーサンタ活動」として、選手やマスコットが川崎市内の病院を訪れて小児科に入院する子どもたちへプレゼントを届けた。ともに選手の参加は4年ぶりとなる。
11年の震災直後から陸前高田との交流が始まり、継続的に選手が訪問を行ってきた。4年ぶり訪問となった今年もカキ養殖見学やリンゴ農家を見学し、地元サポーターによる震災講話を聞き、サッカー教室などで子どもたちともふれあった。
DF登里は「久しぶりに会って声変わりをしている子もいた。子どもたちの成長を見ることができるのは感慨深い」と話す。そしてMF脇坂は「震災について僕たちが若手に伝えるのではなく、自分で見て感じることで行動や振る舞いにつながっていく」と、初参加の若手選手も含め、被災地と交流することの大切さを語る。
物資の支援やスタジアムへ被災者を招待することはもちろんだが、震災を風化させず現地のリアルを選手たちが感じて被災地への寄り添い方を考えるのも、重要な復興支援だ。
「ブルーサンタ」も同様のことが言える。この病院訪問は97年から続けられている取り組み。今回は新人のMF大関とFW名願が参加し、子どもたちとふれあい、その活動の重要性を知った。
新人研修から取り組みについて聞かされてはいたが、大関は「何でこの活動を続けてきたのか、実際に自分がやることでより深く感じた。これをやることによってプラスなことがたくさん生まれるんだなと思った」と語り、名願も「ブルーサンタや陸前高田の訪問も、いろんなところへ行って経験できたことは1人の人間としても良かった」とした。
ピッチ上のパフォーマンスと社会貢献活動による地域や被災地への還元-。その活動は相乗効果を生む。大関は「自分がプロとして夢や希望を与える立場になったと実感した1年。その与えるパワーは自分の活躍次第でどんどんデカくなっていく。自分の持っているパワーをもっと広げていきたい」と話した。
スタジアムの熱気と地域貢献、両輪そろってこそプロリーグの存在価値は高まる。川崎の取り組みに、あらためてサッカーが日常を取り戻したと実感した。(デイリースポーツ・中田康博)