【サッカー】J1川崎の一歩進んだ地域貢献とは?あえてエンブレムを掲出せず「意味がないんじゃないか」の声も

 「LightUp Gallery プロジェクト」の会見に出席したJ1川崎・吉田社長(左から2人目)
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 J1川崎の地域支援の取り組みが、また一歩進んだという印象だろうか-。昨年12月20日に川崎市内で行われた「LightUp Gallery プロジェクト in 川崎」の会見。日本たばこ産業株式会社が川崎市、川崎フロンターレ、HI合同会社と協働してJR川崎駅周辺の複数箇所をアートラッピングするプロジェクトの発表だった。

 川崎駅北口自由通路や、指定喫煙場所をNPO法人studioFLATに所属するアーティストの作品でラッピングされるという取り組み。訪れた人たちがアートによって街の多様性や個性について自然と触れられるような形となっている。

 会見に出席したJ1川崎の吉田明宏社長は「われわれはサッカークラブだが、こういうこともやりながら、地域の人に喜んでもらえる、地域にとってなくてはならない社会のインフラになりたいという思いでいる」と、今回の活動を支援する理由を説明した。

 これまでもさまざまな取り組みを行ってきた川崎だが、異色なのは、そうしたアートラッピングでクラブエンブレムなどが一切掲出されていないことだ。

 プロジェクトに参画しながら表面的な広告効果はない。興味を持って調べれば、川崎も一緒にやっているのか…と気づくレベルだ。ただ、吉田社長は「そういうのでいいと思うんですよ」と話す。

 「社内ではいろいろあった。『何でフロンターレのエンブレムが入っていないのか』『意味がないんじゃないか』とか。でも、やっぱりアートですから。そこにクラブのマークを付けるのは違う。(アーティストが)作られたものをリスペクトするということ」

 もちろん今までの取り組みで地元の人々に「川崎フロンターレ」は高い知名度を誇る。そこから街をアート作品で彩る活動、文化的な創出や美化といった街づくりを人知れず支えていくことは、川崎の地域貢献が、その先の段階に向かったという感想を持った。

 これまでサッカーに興味がなかった人々が、多様な活動に川崎が関わっていることを知り、今度は川崎への応援の輪が広がる。そうした持続可能な地域とのつながりが作られる可能性もあるだろう。

 「そこがわれわれとしては一番。フロンターレってこういうことをしているんだ、じゃあサッカーも応援したいなって思っていただけたらありがたい。今後もいろいろな業態とコラボしていきたい」と吉田社長は話す。地域社会におけるクラブの価値を高める新たな形となるか、注目していきたい。(デイリースポーツ・中田康博)

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