【野球】他球団の選手同士の“呉越同舟自主トレ”は今後の球界発展のために是か非か

 他球団の選手同士の“呉越同舟自主トレ”は、今後の球界発展のために是か非か。

 今年も2024年シーズン開幕に向けて、プロ野球12球団に所属する選手が自主トレをスタートさせる。プロ野球選手会とNPB(日本野球機構)の話し合いでは「オフシーズンの明確化」を理由に、契約期間外は練習を強制できない決まりとなっている。野球協約第173条には「球団又は選手は毎年12月1日から翌1月31日までの期間においては、いかなる野球試合又は合同練習あるいは野球指導も行うことはできない。ただし、コミッショナーが特に許可した場合はこの限りではない。なお、選手が球団の命令に基づかず自由意志によって基礎練習を行うことを妨げない」と記されているからだ。ただし、新人選手に関しては例外的にトレーニングコーチの指導を選手会から認めてられている。

 選手たちは個々のやり方でオフのトレーニングに励み2月1日のキャンプインに備えることになるが、最近では他球団同士の選手がグループで温暖な気候の海外や国内を拠点に合同自主トレを実施するケースも目立ってきている。今年は単身で自主トレを行う予定の日本ハム・清宮幸太郎(24)も、昨年までの2年間はソフトバンクの柳田悠岐(35)に師事した。また、巨人の岡本和真(27)も長年、西武・中村剛也(40)と自主トレを行っている。今季もMLBでのプレーを目指す藤浪晋太郎(29)も巨人の菅野智之(34)とともに自主トレを敢行し、話題となった。

 かつては他球団の選手が組んでトレーニングをすることなど考えられなかった。闘将と呼ばれた故星野仙一氏などは監督時代、試合に備えてグラウンド入りした後は、対戦球団の選手との会話を禁じていたほどだ。協約上は問題ないとしても、呉越同舟のような合同自主トレに異議を唱える球界OBもいまだに相当数、存在している。

 確かに、デメリットもあるかもしれない。情報漏洩の心配まではないだろう。それでも一時期、同じ釜の飯を食うことで親密度は間違いなく増す。親密度が増すことで、対戦の際に緊張感を欠くケースがないとはいえないからだ。だが、メリットはその何倍もあるだろう。若手選手は第一線で活躍する先輩たちの技術を学べるだけではない。野球に関する取り組み方や試合に向けても準備、食事面などの重要性に至る生きた情報も知ることができる。

 昨年3月に行われたWBCで侍ジャパンが優勝したことで、日の丸を背負って戦うことの意味、重要性がさらに大きくクローズアップされるようになった。代表チームの一員として戦うためには、チームを越えた一体感も必要不可欠だ。確かにプロ野球選手は個人事業主で、所属球団や自らの利益を損ないかねない情報提供に二の足を踏む人もいるかもしれない。それでも、日本球界全体の発展、底上げのためには呉越同舟も決して悪いものではない。(デイリースポーツ・今野良彦)

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