【野球】阪神のリーグ連覇を阻止するのはどこだ?新生・阿部巨人、昨季2位の広島、契約最終年の立浪中日らが虎視眈々
昨季のセ・リーグは阪神が2005年以来18年ぶりのリーグ優勝を果たし、オリックスとの日本シリーズも制して1985年以来38年ぶりの日本一に輝いた。球団史上初のリーグ連覇を狙う岡田阪神の対抗馬となる球団はどこになるのだろうか。阪神OBの中田良弘氏が徹底分析した。
まずは監督就任1年目の昨季、74勝65敗4分けで2位に食い込んだ新井貴浩監督率いる広島について中田氏は「新井監督がチームをファミリーと形容して、選手がハツラツとしていた印象があるね」とし、リーグ3連覇を飾った2018年以来6年ぶりの頂点を勝ち取るために必要なポイントについては「先発投手の駒をそろえることだね。大瀬良、森下、九里、床田の4本は計算できるけど、それに続く投手がなかなか数えられない。明らかに絶対数が足りていない。最低6枚、シーズン全体を見渡せば、8人はカウントできる状態にしないといけない」と先発投手の頭数をそろえることを条件に掲げた。また「去年は捕手に重きを置いた坂倉が、リード面の心理的負担からバッティングに影響が出ていた。この負担を減らしてあげることができれば侮れない存在だと思う」と位置づけた。
広島に0・5ゲーム差の3位だったDeNA。中田氏は「捕手を固定できるかが重要なポイントになってくる。去年は山本が71試合に出場したけど、彼が最低でも100試合でマスクをかぶれるようになれれば、チームとしての落ち着きが出てくるはず。やっぱり過去を振り返ってみても、巨人・阿部、中日・谷繁、ヤクルト・古田など、強いチームには名捕手と呼ばれるキャッチャーがいたからね」と正捕手を一本化することができるかが大きなカギを握るとの見方を示した。続けて「メジャー移籍を狙う今永とバウアーの穴埋めも大事だけど、去年は山崎で負けた試合も多かったから、ストッパーを誰にするのか。去年17セーブを挙げた森原にするのか。後ろを固定できるかもポイントのひとつ」と指摘した。
球団史上2度目となる2年連続Bクラスに終わった巨人は、昨季ヘッド兼バッテリーコーチを務めた阿部慎之助新監督となった。中田氏は「キャッチャー出身の監督だから、このオフは救援陣を中心とした補強を進めているよね。まずは去年はあまり試合数を投げられなかった大勢が復活できるのか。加えて、岡本和が41本塁打しながら打点が93だった。41本打ったら、やっぱり100打点には到達したいところだけど、届いていないということは、岡本和の前のバッターの出塁率が悪かったということだから、今年は1、2、3番がより出塁することが岡本和をさらに生かし、勝利につながる確率を上げることになると思う」と解説した。
リーグ2連覇から一転、57勝83敗3分けの借金26を抱えて5位に沈んだヤクルト。中田氏は「中継ぎや守護神・田口は計算できるだけに、やっぱり先発投手だろうね。小川、石川のベテランは奮闘してるけど、去年は4勝9敗と苦しんだ高橋奎二を筆頭に若手がどこまで台頭できるか。あとは塩見。去年は故障で何度も戦線離脱した。彼は1番打者としての能力が高いから、連覇した時のように130試合以上出ることが不可欠。村上は不振の期間が長かったかもしれないけど、あれぐらいの数字(打率・256、31本塁打、84打点)は残すわけだから、やっぱり村上の前を打つバッターが大事になる」と、先発投手の整備と塩見がケガなく出場し続けられるかを浮上のポイントに挙げた。
最後は球団史上初となる2年連続最下位に終わった中日。中田氏は「中田や中島らを補強したけど、ビシエド、宇佐見を含めて同じポジションに人が重なったなという印象。だからこそ、立浪監督の一塁手の使い方、采配がカギになる。あとは点の取り方。これまでのように選手任せに映る采配でなく、もっと大胆に攻める采配が見たい。エンドラン、盗塁、スクイズといった作戦で、ベンチで勝ったなという試合を1試合でも増やすことができれば。これまでの2年を見てる限り、点が取れなくて負けてる展開が多いから、今年は昨年より1点でも多く点を取って勝ちを拾いたい。あとは去年の最後にいいものを見せた根尾がローテに入ってくるようになると、さらに面白い存在になる」と分析した。
18年ぶりに手にした頂点を今年も死守しようとする阪神に対し、他の5球団は覇権奪回を狙い、躍起になって襲いかかってくる。143試合の長丁場。想定外の事態も当然ある。その急場をどうしのぎ、通常軌道に近づき、乗せることができるか。厚い戦力、対応力、修正力…。今年も見逃せない1年になる。(デイリースポーツ・鈴木健一)