【野球】阪神 大谷翔平の義援金で思い出した13年前の城島健司氏の姿 誰よりも早く1000万円寄付「声援があるからこそ」
1日に能登半島を襲った震度7の大地震。被災地では現在も懸命な救助活動が続いている。そんな中、5日にドジャース移籍が決まった大谷翔平投手がドジャースと共同で約1億4000万円の寄付を行うことを表明した。
その迅速な行動、そして金額の大きさが世間の反響を呼んだ。自身のインスタグラムで「復興活動に参加してくださった方々に感謝するとともに、今後も私たちが団結していき被災された方々を支援していきたいと願っています。行方不明者の早期発見と被災地域の復興を心より願っています」とメッセージをつづった大谷。この行動を見て、13年前の東日本大震災で誰よりも早く義援金を送った阪神の選手を思い出した。
日本人捕手で初めてMLBに挑戦し、マリナーズから阪神に移籍して2年目を迎えていた城島健司。震災から5日後の3月16日、日本赤十字社を通じて寄付を表明した。プロ野球界で真っ先に寄付を名乗り出ただけでなく、1000万円という金額は、スポーツ選手個人が寄付する額として当時は異例だった。
当日のオープン戦でオフに受けた左膝半月板の縫合手術から実戦復帰を果たした。その際、義援金について聞くと明るい表情が消えたのを覚えている。そしてこう意図を説明した。
「微力と言うか、仙台に行っても阪神ファンがたくさんいる。その人からの声援があるからこそ、今こうやってグラウンドでプレーできているわけですから。何もしないよりは1人、1人がやっていければ」
その後、支援活動は阪神の選手だけでなく、他球団、そしてNPBなど日本球界へ大きな広がりを見せた。自分なりにできることは何か-。城島が先頭に立って表明したことで、選手個人が考えるきっかけとなり、支援の輪が日に日に大きくなっていった。
阪神での3年間を担当していた際、「プロ野球選手の給料はどこから出てると思う?」と問いかけられた。「ファンですか?」という返しに「そう。ファンの方が入場チケットを買ってくれて、テレビを見て応援してくれて。球場に来るために阪神電車に乗ってくれて。そこから俺たちの給料は出てる。だからファンの声援はプロ野球選手にとって何よりもありがたいものなんだよ」とプロ意識の根幹を学ばせてもらったのを覚えている。
東日本大震災直後は日を追うに連れて甚大な被害が明らかになっていった。プロ野球は予定通り開幕すべきか否か、議論も巻き起こっていた。そんな中、城島は被災したファンのことを真っ先に考え、「何もしないよりは」と大きな金額を義援金として送った。
その当時を取材していたせいか、今回、大谷翔平投手の行動は素直に胸を打った。スポーツ界で一流と呼ばれる選手は、やはり独特のスピード感を持っていると改めて感じさせられた。(デイリースポーツ・重松健三)