【野球】和田毅のプロテクト漏れが伝えられるソフトバンクの戦略に評論家が私見「山川の人的補償だけに慎重を期すべきだった」「まさか指名しないだろという感覚があったのでは」と指摘
プロ野球ファンをざわつかせた慌ただしい一日となった。西武は11日、国内FA権を行使してソフトバンクに移籍した山川穂高内野手の人的補償として、甲斐野央投手を獲得したと発表した。
西武が金銭補償を選択していれば、大きな波紋を呼ばなかったかもしれないが、人的補償を選んだ。今回は女性問題で世間を騒がせ、獲得に際してもファンから多くの反対意見が寄せられた山川の人的補償だけに、大きな注目を集めていた。
さらに発表当日、複数のメディアにおいて、西武が人的補償に和田毅投手を指名する方針を固めたと報じたことで、SNSは関連ワードで埋め尽くされる事態となっていた。
結果、西武が選択したのは和田ではなく甲斐野だったのだが、一部では世間の反響があまりに大きすぎたために、指名選手が和田から甲斐野に変更されたというウワサまで飛び交った。
和田のプロテクト漏れが伝えられるソフトバンクの戦略について阪神OBの中田良弘氏は、情報が正確ならばと前置きした上で「ソフトバンクからしたら、まさか42歳の和田を指名してこないだろという感覚があったのではないか」との私見を示した。
続けて「ただ、去年チーム2位の8勝を挙げた実績があり、今年も先発ローテの一角を期待していた選手のはず。しかも今回は女性問題を起こした山川の人的補償。球団は慎重にプロテクト選手を選んだんだろうけど、和田のプロテクト漏れが事実ならば、もっと慎重を期すべきだった」と指摘した。
その理由について中田氏は、仮に和田が人的補償選手に指名されていた場合、今季挙げるであろう白星の数を失うことよりも、ベテラン左腕から後輩が学びの機会を失う痛みの方が大きいと解説する。
「和田は教科書だよ。このオフもたくさんの選手と一緒に自主トレしてる。それって若手からしたら、和田から学びたいことが多いからだと思う。俺も阪神時代に小林繁さんから多くのことを学ばせてもらった。今、結果を残してる先輩、同じ時代を生きている人から教わることの方が、コーチから教わるより頭に入るんだよね」
経験、実績、人望もある和田を見て学び、マネることで盗み、聞いて吸収する。教え、伝えることに多くの引き出しを持っているであろう生きた教材。勝ち星だけでなく、グラウンドにいるだけで、視線を配るだけでチームにいる価値があるというのだ。
中田氏は最後にこう言った。「いろんな人に迷惑をかけた山川には是非とも活躍してもらいたい。ソフトバンクファンの人に『甲斐野は西武に行くことになったけど、山川を取って良かったよね』と言ってもらえる成績を残してほしい。1年だけで納得する人は少ないはずだから、野球人生をかけてね」と切望した。(デイリースポーツ・鈴木健一)