【野球】球団ごとに格差がある現行のポスティングシステムは、見直しの時期を迎えているのではないか

 球団ごとに格差がある現行のポスティングシステムは、見直しの時期を迎えているのではないか。

 日本ハムからポスティングシステムを行使してメジャーへの移籍を目指していた上沢直之が、交渉期限の米11日午後5時(日本時間12日午前7時)までに、レイズとマイナー契約で合意したという。球団公式X(旧ツイッター)で発表された。現段階での契約条件は明らかになっていない。だが、同じシステムを利用した山本由伸が、投手として過去最高額の12年総額3億2500万ドル(約465億円)でドジャース入りしたのとは比較にならないだろう。

 それでも上沢の場合、念願のMLBでのキャリアをスタートさせることができる。早期のメジャー入りを希望し、いまだに所属球団との契約更改が終了していない佐々木朗希のような選手も存在している。

 今季、パドレス入りした松井裕樹のように海外FA権でメジャー入りする場合は、選手個人が自らの権利を行使しただけで分かりやすい。ところが、ポスティンシステムを利用しての海外移籍となると球団によって基本的な方針が異なる。国内で一定の成績を残したダルビッシュ有や大谷翔平をMLBに送り出した日本ハムのような球団もあれば、原則的には認めない巨人のようなチームもある。球団には球団に事情があり、同システムを認めるか否かは違って当然だ。しかし、将来のメジャー移籍を念頭にNPB入りする社会人、大学、高校生にとっては球団ごとの方針の違いは不公平感を生む土壌になりかねない。

 野茂英雄氏や故伊良部秀輝氏の海外移籍騒動に端を発し、MLBから球団間での獲得機会均等を実現する制度の要求があり、1998年に「日米間選手契約に関する協定」が創設された。この制度は当初、最高金額を提示した球団が独占交渉権を得るシステムで、上限が設けられていなかったため評価が高い選手への入札額が高騰。2006年の松坂大輔氏のケースなどは、5111万1111ドル11セント(当時レート約60億円)と高額で、レッドソックス入りしている。その後、見直されて選手契約額と譲渡金が連動することになったため、今回の山本由伸の場合、オリックスへの譲渡金はドル建て5060万ドル(約72億円)で、松坂氏のそれを上回ってはいない。

 今季は山本由伸だけでなく、前DeNAの今永昇太もポスティングシステムでカブス入りを果たした。来季以降も彼らに追従するしたい選手は、間違いなく増えてくる。それだけにNPBだけでなくMLBも含めた、新たなポステイングシステムの再構築が必要なのではないか。(デイリースポーツ・今野良彦)

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