【野球】合同自主トレ隆盛の時代にあえて“孤独”を選ぶワケ 明確な意図と強い信念 阪神・坂本、小幡らの狙いとは

 1人で黙々とランニングする坂本=11日、甲子園
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 今季の阪神は球団史上初の連覇が目標となる中、選手たちはオフをどう過ごしているのか。今回の「スポットライトの裏側」は、単独や選手1人だけでの自主トレを行う理由を証言とともに明かす。なぜ、合同自主トレを選ばないのか。その決断には、明確な意図と強い信念があった。

 1人で甲子園球場の外野を黙々と走り、1人で階段を駆け上がっていく。沖縄北部の国頭村(くにがみそん)ではトレーナーとの二人三脚ではあるが、選手は1人だけで特守に特打と濃密な時間を過ごしていた。

 前者が坂本誠志郎捕手(30)で後者は小幡竜平内野手(23)。昨季までは2選手とも合同自主トレに参加していた。ここからの前提として、合同自主トレを批判するわけではない。坂本も小幡も選手同士で練習し、共に生活することで得るものも多いと言っていた。

 では、なぜ単独トレを選択したのか。小幡はこう証言した。「一番は自分に使える時間が増える、自由に動けることが一番。本当にやりたいことを気が済むまでやれるので、そこが一番ですかね」。自分に何が必要かを考え、課題と徹底的に向き合っていた。

 実際に午前9時半から練習を開始し、午前はトレーニングや守備がメイン。午後2時から5時までの3時間は打撃練習。「中身が濃すぎて、長いって感じないです」。気にしなければいけないのは施設の閉館時間だけ。それまでは、黙々と自分で決めたメニューを遂行していた。

 坂本は単独で自主トレを行うことになり、入団時の2軍監督だった掛布氏の言葉を思い出したという。「1人に強くなれ」。野球選手は孤独との戦いでもある。「1人でできないとプロ野球の世界はやっていけない」。あえて言い訳できない環境をつくり、自分を見つめ直すことにした。

 近年は球団の垣根を越えて、合同自主トレが盛んに行われている。逆に1人だけでオフを過ごす選手は少なく感じる。だからこそ、単独で自主トレに励む姿が印象的だった。

 西勇は西純と自主トレに励んでいる。多くの経験をしてきた33歳も「たくさんの人数でやるのが良かった時もあった。だけど最近は練習しないといけないし、後輩の面倒も見ないといけない。心が疲れた部分があった」と正直に吐露。○○組やチーム○○と名付けられ、主催する側にも大変さはあるようだ。

 近本は自分のペースを崩さないため、そして後輩の人生をまだ背負えないという考えから、1人を選んでいる。1月は長いシーズンを戦う上で、大事な1カ月。選手によって、先輩に弟子入りするも良し、後輩を率いるのも良し。最後は成績を残せば、報われる。今は単独トレが珍しいように思うが、この先はどう変化していくのだろうか。(デイリースポーツ・阪神担当・今西大翔)

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