【スポーツ】耳を疑った瀬戸大也の“特殊能力” 潜水中に「肺の大きさを調節」「息を吐きながら居心地のいいサイズに」

 瀬戸大也
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 開幕まで半年を切った24年パリ五輪の競泳日本代表は、3月17日に開幕する国際大会代表選手選考会で決まる。注目の一人、瀬戸大也(29)=CHARIS&Co.=の“特殊能力”に迫る。

 最初に聞いたときは耳を疑った。瀬戸が200メートル個人メドレー、同400メートル、200メートル自由形、200メートル平泳ぎの4種目に出場した2023年4月の日本選手権。ハードな種目を消化して疲労の色は見えたが、表情はすがすがしく呼吸も粗くない。レースではターン後に潜り続ける場面も多く、どこか余力を残しているように感じられた。大会最終日。報道陣から潜水の狙いを問われると、衝撃の一言を放った。

 「潜っている最中に呼吸を回復させているんですよ。肺の大きさを調節して苦しさを分散させている。しっかり息を吸って肺を広げて、(水中で)息を吐きながら居心地のいいサイズに変えています。そうすると体が楽に感じる」

 肺のサイズを変えて、心地がいい…?人間離れした“特殊能力”に理解が追い付かなかった。話を聞いていくと、短水路(25メートル)で練習を重ねていく内に自然と身についた能力らしい。肺に空気を100%で入れると胸がふくらみすぎて逆に苦しくなり、6~7割ほど酸素が入っている状態で泳ぐのがベスト。「泳ぎながら徐々に息を吐きつつ7割で(口から)泡を出すのを止めて、(息継ぎで水面に)上がってくるときには全部の空気を吐ききる感じ」。肺がふくらみすぎたときは、しぼめて肺の位置ごと下げることもあるという。

 昨年の世界選手権(福岡)で個人メドレー2冠を果たしたレオン・マルシャン(フランス)は潜水の能力が高く、可能な限り長く潜って距離を稼ぎ、400メートル個人メドレーで世界記録をたたき出した。瀬戸が昨季終了後からオーストラリアで師事するマイケル・ボール氏の練習でもアンダーウオーター(潜水)のメニューが多く、今のスイマーが身につけている力だという。もしかすると瀬戸の肺を調節する“特殊能力”が、パリ五輪で勝負を分けることもあるかもしれない。

 失意の予選落ちとなった21年東京五輪から3年が立ち、パリ五輪までは約半年。共に夢舞台を目指していた妻・馬淵優佳(ミキハウス)は2月2日に、引退を発表し、夫のサポートに専念する旨のコメントを出した。「今年は勝負の年。何事にも挑戦しながら自分を超えて超えて超えていきたい」と瀬戸。競技を始めた5歳から長い時間を水の中で過ごし、驚異の能力を身につけた男が今夏、五輪王者の座を狙いにいく。(デイリースポーツ・谷凌弥)

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