【サッカー】J1神戸がビッグネーム補強から一転した理由 「バルサ化」の先に見えたチームの姿

 連覇に挑む神戸が、24日にアウェーの磐田戦(ヤマハ)で今年のJ1をスタートさせる。数年来続いていた海外の代表選手を続々と獲得する大型補強から一転。意外とも言える堅実なメンバー構成の根底にあるのは、チーム内競争による「勝ち続けるチーム」への脱皮だった。

 昨年まで海外のビッグネームが名を連ねた神戸から元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(39)、同MFフアン・マタ(35)らが退団し、今季は国内組の補強だけで始動した。

 3日時点の移籍組はFWが宮代大聖(23)=元川崎、MFが元日本代表の井手口陽介(27)=元セルティック、鍬先祐弥(25)=元J2長崎、DFは元U-23日本代表の岩波拓也(29)=元浦和、広瀬陸斗(28)=元鹿島、GKは新井章太(35)=元千葉=とオビ・パウエル・オビンナ(26)=元横浜M=だ。Jリーグで経験を積んだ中堅をそろえた。

 2015年から楽天グループ傘下になった神戸は、強豪国の代表経験者を次々に入団させた。17年に元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキを獲得し天皇杯4強に進出した。18年はイニエスタ、19年に同FWダビド・ビジャが加入すると、翌20年元日の天皇杯でクラブ初のタイトル獲得。ビッグネームの加入はチームに常勝軍団のスピリットを植え付け、集客面でもカンフル剤となった。

 特に18年のイニエスタ加入後は「バルサ化」と呼ばれたパスサッカーを導入して旋風を起こした。しかし昨年、優勝の原動力となったのは縦に速い攻撃スタイル。屋台骨を担ったのはFW大迫と武藤、MF山口、DF酒井の元日本代表たちだった。海外のリーグも経験したベテランはハードワークで試合を作り、時に叱咤(しった)しながらも若手と化学反応を起こし、優勝に導いた。今季は7年ぶり復帰の岩波や宮代、井手口ら実績のあるメンバーが、4本柱のポジションを脅かす存在になる可能性も十分にある。

 千布勇気社長(38)は今シーズンの補強について「以前、ACLに出場した時や過密日程になった時、選手のコンディションを保つのが難しかった」と、これまでの経験から得た課題を挙げた。「過剰とも言える層の厚さ、競争・共存を実現するため各ポジションでバランスよく補強した。ACLも取りに行き、リーグタイトルも両立。1年間ハードワークしながらも休めるように」と競争力を高めながらカバーし合えるメンバーを充実させた。「競争・共存」をキーワードに掲げる吉田孝行監督(46)は「経験豊富なベテランがいて、そういう選手と融合して数年後の神戸も見据えるために、20代の中堅クラスも多く」と将来を考えチームを構成したという。

 三木谷浩史会長(58)は1月27日放送のテレビ東京系「FOOT×BRAIN」で「神戸は『バルサ化』をやめたと議論になるが、われわれの言うバルサ化はサッカースタイルではなく、若手育成のクラブ運営」と話している。トップチームを頂点にした各世代の強化や環境整備など、全体の底上げで常勝軍団を目指す。(デイリースポーツ・中野裕美子)

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