【野球】バットを折らないことで有名だった選手は誰?落合博満、立浪和義、イチロー 技術の高さを裏付ける伝説があった

 DeNAドラフト1位の度会隆輝外野手が4日の練習中に初カミナリを落とされた。フリー打撃中にバットを折ってしまったのだが、ケージに予備を持ってきておらず、石井チーフ打撃コーチから「用意しとけよ!」と一喝されたという。

 度会はENEOS時代の2022年、最優秀選手の橋戸賞、新人賞の若獅子賞、さらに打撃賞と史上初の3冠を獲得した。中学3年時に出演したTBS系「炎の体育会TV」では、それまでに出演したプロ野球選手の誰もが成し遂げられなかった、100秒以内に15枚の的を射抜く『ヒットTHEターゲット』で、11秒を残して史上初のパーフェクトを達成。ミート力の高さには定評があり、本人もバットを折らない自信があったのだろう。

 バットを折らなかった選手といえば、前人未到の3度の三冠王を獲得した落合博満氏、通算487二塁打の日本記録を持つ立浪和義氏、日米通算4367安打のイチロー氏などが有名だ。

 1984年に本塁打王を獲得した宇野勝氏は中日コーチ時代、落合氏の技術力について「打球音がね、他の人と全然違った。カーン、コーンという音が甲高いのが落合さんの特徴で、打撃練習でミスショットした音を聞いた記憶がないぐらい。全部スイートスポットで打ってたんだろうね。練習では常に1本しか持ってなかった」と振り返っていた。

 落合氏は中日監督時代、バットを折らなかった現役時代について「シーズンで1本も折らなかったこともあった。折ったとしてもせいぜい1本か2本ぐらいだったな」と振り返っていた。また、落合氏はバットの扱い方にも人一倍の神経を配っており、梅雨時などに湿気を吸ってバットが重くなってしまうことを避けるため、乾燥剤入りのジュラルミンケースに入れていた。「湿気を吸っちゃうと、手に取った瞬間に『んっ、違う』って分かるんだよ。俺は素手で握っていたから。重くなればバットコントロールの仕方が変わってくるし、打ち損じる確率も上がる。それが嫌だったんだよ」と語っていた。

 ミスタードラゴンズ・立浪氏に関しては、専属打撃投手を務めた平沼定晴氏(現昇竜館館長)が驚きの場面を振り返った。「ボールを捉えることが上手なバッターだった。ある時、タツのバットを見たら、ボールを捉えるポイントがほとんど一緒のところにしか跡がなかった。すごい技術。長く投げさせてもらったけど、ホントいいバッターだったし、気持ちよく打ってくれるから、打撃投手冥利に尽きる選手だった」と語っていた。

 イチロー氏は残した数字が物語るように芯で捉える技術は高かったが、過去にはロッテの左腕、ヒルマンに1試合で3本もバットを折られたことを明かしている。また、イチロー氏のバットを手がけたバット職人の久保田五十一氏は「バットに対するこだわりが強い選手でしたし、バットを折るのが珍しい選手でもありました」と話していた。

 話は戻って、度会はグラウンドに戻った時も、手にしていたバットは1本だけだった。三浦監督は「あれが折れたらどうするのかなというところもルーキー。それも勉強。あの中断の時間がもったいない」と苦笑交じりにたしなめ、度会は「いつも1本で打ってることが多い。勉強です」と頭をかいた。だが、今シーズンを戦い終えた時、度会がバット1本で打撃練習に臨むことに誰も口を挟むことがない成績を残しているかもしれない。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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