【野球】日本ハム・万波 打撃フォームマイナーチェンジの意図 〝大谷級〟打球スピード求めての改善点とは
日本ハムの主砲を担う万波中正外野手(23)がさらなる進化を模索している。オフから取り組んでいるのは打撃フォームの改造。「しっかり体の中心で回る」をテーマに、マイナーチェンジした打法を追求する。その意図するところに迫った。
万波がこだわるのは打球速度。昨季の最速は本人によると「180キロから181キロ」。それを今季中に「ゲームで185キロを目指したい」とし、将来的には190キロに上げる目標を持つ。MLBで昨季の打球スピード1位はアクーニャ(ブレーブス)の195・1キロ。大谷翔平は190・9キロで4位。先々はメジャートップクラスに上げる思いだ。
打球速度を上げるためにスイング速度を上げることに着手している。単純にパワーを上げるための筋力増加に取り組むのも方法の一つ。そして、もう一つがより速く回転するための打撃フォームの見直し。それが「体の中心で回る」だった。
2年前はボールを追いかける傾向にあった。新庄監督が「ツーバウンドするボールでも振る」と酷評したほど、前に突っ込みがち。昨季はそんなフォームを矯正して結果を残したが、「終盤戦からアジアチャレンジマッチの時に、右足加重になっている感じがありました」と修正点を明かす。
追い求める打撃フォームは「バランスよく2本の足で回れるようにっていうところになるかな。右足にためるっていうことと左足も使ってしっかり回るっていう、その2つが大きいテーマになると思いますね」と言う。さらに説明を重ねる。「なるべく体の中心で回れるように、傾きがなければないほど回転もしやすくなるし、速くなると思う。速く回る、強く回るために、バランスよく使って。真ん中で回れるようにっていうふうに思ってます」-。
コマは地面とより垂直に回すと止まったように見える。空気抵抗を受けづらくなり、スピードを落とさず長く回転を続ける。原理は近い。「そうですね。回転が広がらないように。股関節をなるべく小さく、ピュッて回れるように」と表現した。左右の足を均等に使った、コマのように軸のしっかりしたスイングで、より速いスピードを生み出す考えだ。
現段階で課題とするのは左脚の使い方。「左右バランスよく使えるように、特に左股関節の、回る時の引き込みっていうのがうまくいくように、トレーニング、バッティング含めて色々意識してやっているところですね。左右のバランスがもっと良くなるっていうのと、特に左足をもっとうまく使えるようにっていうのが技術的なところで、一番課題として取り組んでいます」と明かす。
細部までこだわった打法。一朝一夕で身につくものではない。「自主トレの段階ではいい手応えをつかんでいたんですけど、キャンプに入ってみて、自主トレ以上の疲れが出てくるとうまくいったりいかなかったりなので、完全に習得したとは言いがたいかなという段階ですね。もっとうまくできるように日々やっているような感じです」。
昨季は25発。最後まで本塁打王を争った。それもまだ通過点。打球速度を上げることでさらなるレベルアップを思い描く。
「出塁率や長打率だったり、自分の本当の実力が出る数字をさらに積み上げていけたらと思いますし。OPS(出塁率と長打率を足し合わせた値)で・900を目指しているので、まだまだ足りないところがありますし。長打力と選球眼。昨年、成長できた2つをさらに伸ばして、本当の自分の強みにできるようにしたいです」
フォーム改造でスイング速度を上げ、打球速度アップにつなげる。今はフォームを完全に身につける段階。常に理想を追求し、壮大な目標を追いかけ続ける23歳。その進化は止まらない。(デイリースポーツ日本ハム担当・鈴木創太)