【野球】広島打線復活への“新兵器” ミズノ社製「ブラストモーション」導入の経緯、その狙いとは
広島が今キャンプから“新兵器”を導入している。ミズノ社製の「ブラストモーション」という打撃用の解析機器で、バットのグリップエンドに装着し、スイングすると瞬時に10項目以上の数値をもとにスイングのスコアが表示される優れもの。導入の経緯やメリットを球団アナリストの飯田哲也氏(32)が説明。強打の赤ヘル打線復活へのカギに迫った。
1月からカープ担当となり、迎えた初めてのキャンプ。「カープと言えば12球団の中でもかなり練習量が多いことで有名だし、どれほどの時間や量を練習するのだろう…」。記者の考えはキャンプ初日の練習を見て180度変わった。
ブルペンでは投手陣が1球を投じるごとにラプソードで回転数や回転軸を確認。2軍キャンプにもデータ分析のプロであるアナリストを常駐させるなど練習の「量」だけでなく、「質」も追い求めた最先端の練習風景が広がっていた。
その中で今キャンプから導入されているのが「ブラストモーション」という機器だ。バットのグリップエンドに装着し、スイングを行うとスイングスピードやバットの軌道、入射角などを瞬時に分析。10項目以上のデータからスイングのスコアを表示するという優れものだ。
他球団ではDeNAなどがすでに導入しているが、広島が取り入れるきっかけになったのは、昨年11月に飯田球団アナリストが堂林、磯村、西川とともに都内で行われた米国のトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」のセミナーに参加したことだった。同氏はそこでブラストモーションの必要性を実感した。「使い方の方向性が見えた。スイングを数値で可視化していこうというところで球団にお願いしました」と導入の経緯を明かした。
同氏は導入の大きなメリットに不振時の脱却に役立つことを挙げた。「好調時のデータと不調時のデータを比較することができる。打球速度とかを計っていた今までとは違う視点でアプローチできる」。好調時の「感覚」を追い求めるのではなく好調時の「数値」を目指して練習する。不振脱却を試みる選手にとっては心強い手段の一つになることは間違いない。
実際に使用した田中は「参考になります。今は良いスコアになるような打ち方を試しています」と好感触。オフに打撃改良を行った矢野は継続して使用しており「インパクトまでの軌道はとても意識するようになりました」と明かした。
現在は1、2軍でそれぞれ3個ずつ導入し、選手それぞれのデータを集めている段階だという。集めたデータは携帯のアプリで各選手も共有できるようになっており、今後、本格的に解析を行っていく。昨季のチーム得点数はリーグ5位。新兵器の導入で今季はひと味違う赤ヘル打線が見られるかもしれない。(デイリースポーツ広島担当・高橋涼太朗)