【野球】大学野球 なぜ中大に有望株が集まるのか 阪神・森下も証言「やりやすい環境を作ってくれたのは」
東都大学野球リーグに所属する中大が昨年12月に発表した2024年度のスポーツ推薦合格者が豪華メンバーだと話題になった。U-18世界一メンバーに、22年夏の甲子園V戦士、23年WBC日本代表右腕の弟…。有望株が続々と入学する理由を探った。
昨年12月、中大が発表したスポーツ推薦入試の合格者に沸いたファンも多いだろう。昨夏の沖縄大会から甲子園大会途中まで47回1/3連続無失点を記録した沖縄尚学・東恩納蒼投手、甲子園で本塁打を放ち扇の要として浜松開誠館をけん引した新妻恭介捕手、22年夏の覇者である仙台育英のリードオフマン・橋本航河外野手の3人は、U-18世界一メンバー。さらにロッテ・佐々木朗希の弟である大船渡の佐々木怜希投手ら精鋭16人が名を連ねた。
中大の魅力として、新入生が共通して挙げたのはチームの雰囲気だ。
昨年8月に練習を見学した佐々木は「すごい成績を残してますし、雰囲気が良い」と志望を即決。新妻も「上下関係なくアットホームな感じに受け取ったので、プレーもしやすいかなと」と印象を明かす。東恩納は進学希望から一転してプロ志望届けを提出も、指名漏れ。「それでも中央大学が取ってくれると言ってくれたので恩返しというか。一人一人がやるべきことをやっていて、やりやすい環境」と語った。
1部、2部の入れ替え戦があり「戦国」とも呼ばれる東都リーグに所属している点もメリットだろう。4年後のプロ入りを目標とする新妻は「評価されるとなると、東都と六大学野球かなと。その中で、東都は入れ替え戦があってプレッシャーがある。そういった場面が好きなので」と志望理由を説明。東恩納は「(沖縄尚学の)比嘉監督が『東都が一番レベルが高い。その中で強くなったら、上(プロ)でもやっていける』とおっしゃっていた。そういう高いレベルでやってみたいと思いました」と明かした。
実際に、昨秋ドラフトでは史上初の同一リーグから7選手が1位でプロ入りとレベルの高さがうかがえる。その中でも近年の中大は、20年度ドラフトでDeNA・牧と日本ハム・五十幡が2位でプロ入り。21年度には西武3位・古賀、22年度には阪神1位・森下ら、23年度には巨人1位・西舘らが入団と、ドラフト上位選手を続けて輩出している。
OBの阪神・森下も証言する。自身はプロ入りを視野に六大学野球の法大のセレクションを受けるも落選し、受け入れがあった中大に合格した経緯がある。「入ってみて分かったのは、入れ替え戦があるのとないのじゃ本当に別物。一人一人の情熱が高く保てていましたし、負けてはダメという状況はプロ野球人生でも生きる」と力説した。
さらに「雰囲気の良さ」については「牧さんのおかげ」と断言する。
森下が入学当初は上下関係が厳しい環境だったというが「牧さんが4年生でキャプテンになって、下級生から上級生までやりやすい環境をつくってくれた。それを自分たちも見ていたので」とルールの見直しなどを行い、風通しの良いチーム作りが実現。「厳しさもありつつ、時代に合った温かい雰囲気になっている。そういう環境だから、いろんな選手を呼びやすくなってるのかなと」と見解を示した。
生き残りをかけた激しい戦いの中にありつつ、個々がのびのびとプレーできる環境が整っていることが、多彩な人材が集まる要因となっているようだ。(デイリースポーツ アマ野球担当・間宮 涼)