【野球】沈静化の一途をたどるT・バウアー獲得劇が教えてくれるもの もはや外国人選手には品格も求められる

 外国人選手には、もはや実力だけではなく品格も求められる。舌禍事件のトレバー・バウアー(33)獲得劇は、日本国内でも沈静化の一途をたどるのか。

 DeNAを離れ、MLB復帰を模索していると伝えられるバウアーだが、その去就はいまだに決まらない。先日は米アリゾナ州で行われるエンゼルスのキャンプ地施設で行った投球動画を自らのユーチューブチャンネルで公開したが、どこかの球団と正式に契約を結んだとの報道はない。

 昨季は3月14日にDeNAと1年契約し、同23日に来日即支配下選手として登録された。ファームでの調整登板後、5月3日の広島戦(横浜)で1軍初登板し7回1失点で来日初勝利を挙げた。6月以降はMLBの投手としては最高の栄誉であるサイ・ヤング賞受賞者の実力を遺憾なく発揮。7月の球宴にも出場し、2度の月間MVPに輝き、10勝4敗、防御率2・76の成績でシーズンを終えた。

 1年契約ということもあり11月30日にDeNAを自由契約となり、日本国内では激しい争奪戦が開始されると予想されていたが、本人はMLB復帰を最優先に考えていた。ところが、MLB時代に度重なる女性に対する暴行事件疑惑など招いたことが問題視され、MLB30球団が春季キャンプに突入し、オープン戦が始まろうとするこの時期になっても本人の希望はかなっていない。そのため、最近では日本球界残留1択とも言われ始めているが、事態はそう簡単ではないだろう。

 実績あるバウアーと契約するためには1年10億円規模の年俸が必要となってくる。NPB12球団で、その金額を用意できるチームは少ないかもしれないが、問題は別にある。彼が引き起こした舌禍事件だ。バウアーは今年1月13日、自らのユーチューブで仮釈放された米軍人に「Welcome home」と祝福するかのようなメッセージを送った。同軍人は2021年5月、静岡市内で居眠り運転し2人を死亡させた。その後、「自動車運転処罰法違反」で逮捕され、禁錮3年の刑罰で収監されていたが、昨年末には米国に移送されて仮釈放に至っていた。

 かつて日本でプレーする外国人選手は、文字通り助っ人で特別扱いの時代があった。春季キャンプなどでも外国人選手の寝泊まりするホテルは他の選手とは別で、しかも1ランクも2ランクも上だったケースが多かった。契約条件にもよるが、シーズン中に生活拠点とする家、マンションは球団が用意し、場合によっては本国にかける国際電話の料金も球団持ちという選手もいた。

 助っ人として気分よくプレーしてもらうため、所属球団も最大限の譲歩をしていたわけだが、今の時代は違う。特にコンプライアンスの面では外国人選手だからといってすべてが許されるわけではない。その後、不適切と謝罪したが今回の発言は、被害者の遺族はもちろんのこと日本人の感情を逆なですることに他ならない。決して軽い発言ではないのだ。

 確かに、プロ野球選手はグランド内のパフォーマンスでファンにアピールすればいい-との声もあるかもしれないが、ファンあってのプロ野球だ。もはや外国人選手がプライベートな面でも優遇される時代ではない。今回のバウアー騒動がそう教えてくれている。(デイリースポーツ・今野良彦)

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