【ファイト】井上尚弥・拓真兄弟の父・真吾トレーナー 拓真KO防衛に涙したワケとは

 24日に東京・両国国技館で行われたWBA世界バンタム級タイトルマッチは、王者・井上拓真(大橋)が、挑戦者でIBFスーパーフライ級王座を9度防衛した実力者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)を右ボディー一発でKOに葬り、初防衛に成功した。その時、リング上で涙していたのが、父の井上真吾トレーナーだった。

 一夜明けた25日、真吾氏は「(家族として)うれしくて、自分は尚弥・拓真の試合で初めて涙をこぼしたくらいうれしかった」と打ち明けた。尚弥とはもちろん、4団体統一スーパーバンタム級世界王者の“モンスター”井上尚弥、つまり拓真の兄のことだ。

 真吾氏は「拓真はまだ殻を破っていない。本人も分かっていて、試行錯誤でずっとやってきた。昨日、その殻を破ってくれたのかなってすごく感じました」と涙の理由を明かし、「(これまでは)いいパンチが入ると(次のパンチを)狙うので(相手を)見ちゃうのを、(アンカハス戦は)攻撃から攻撃、フィニッシュまであったので、ウルウルしてきちゃったんです」と、具体的な試合内容に沿って続けた。

 試合前、攻撃的にバージョンアップした姿を「見せられると思います」と公約した拓真。そのために真吾氏もトレーナーとして尽力した。数年ぶりにスパーリングの映像を拓真と見ながら「何年ぶりかで細かいところをいっぱい言ってきた」(真吾氏)り、接近戦で効果を発揮したボディーを入念に指導したりしたことはその一端だ。拓真も父の気持ちは「伝わってきました」としっかり受け止め、24日のKOに結実させた。

 拓真は前夜の会見で試合を「足を使ってポイントアウトすることもできたが、それをやっちゃうといつもの自分のつまらない試合になっちゃうんで、あそこでしっかり打ち合って勝てたのですごい自信になった」と振り返り、背景にあった思いを「偉大な兄がいて、兄弟である以上は自分も(試合内容で)盛り上げたい」と明かしていた。

 2023年の年間表彰で6年連続7度目のMVP、年間最高試合賞、KO賞を独占したことでも分かるように、兄・尚弥は実績も試合内容もずばぬけた存在だ。真吾氏は「本人もキツかったと思う。尚弥と比較されるじゃないですか。本人は言わないけど、オヤジとして(拓真の気持ちは)分かるじゃないですか。そこを打ち破ってくれたのかな」と、拓真の進化を実感していた。

 「尚弥と色は違うけど、同じ立ち位置に(拓真を)持っていきたい」ということを目指す真吾氏。「まだまだ伸ばさなきゃいけないところ、直さなきゃいけないところがいっぱいあるので、それが楽しみ」と、さらなる進化の可能性を拓真に見いだしている。(デイリースポーツ・藤澤浩之)

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