【野球】「最低でもAクラス」を掲げる日本ハム・新庄監督 大きな手応えを得たミスのない細かい野球の浸透度とは

 2年連続最下位に終わった日本ハム・新庄剛志監督(52)。今季は「最低でもAクラス」という目標を掲げた。大型補強で戦力が充実したことももちろんだが、それ以上にミスのない細かい野球が浸透したことに大きな手応えを得て臨む。キャンプを通じてそんなシーンが随所に見られた。

 昨季の敗因の一つに12球団ワーストの94失策があった。今季はここまでの実戦9試合で失策は4。うち、イージーなミスは2つにとどまった。昨秋のキャンプは沖縄に行かず、守備を重視するためにエスコンフィールドで実施。その成果が出てきている。

 新庄監督は「あれだけ植えつけましたからね。秋季キャンプから“エラーすんな、守りの野球で勝つよ”って」と振り返る。「ボールが飛んできた時に“エラーしちゃいけない”っていう意識が出て、前に出るようになってきたでしょ?そういうところは成長してる」と手応えを明かした。

 走塁面でも進境が見られた。三塁を回る際に外側に膨れない練習を繰り返し、最短距離でホームを狙う走塁が浸透している。積極的な走塁も随所に見られ、25日の広島戦では一走・加藤豪が深い中飛で二塁へタッチアップ。九回は一走・細川が次打者の中前打で三塁を陥れた。ともに迷いなく走った。

 「1年目に“やって”って言って慣れていって、2年目で徐々にできるようになって、今年はでき始めたから。あとはもう体が、筋肉が脳が覚えてる。1つのプレーでも勝手にもう体が動いて判断してくれる」。積極的に挑んだ末のミスは責めなかった2年間。ここにも成果が表れている。

 次に投手陣。昨季はリーグ3位の防御率3・08。敬遠を除く与四球数は実はリーグ最少の363個だった。さらなるレベルアップを追求する。

 実戦でのテーマは“初球ストライク”。建山投手コーチは「アメリカに行っている時に1試合の中で何人投げて何人ストライクっていうのを計ってやっていて、これいいなと思ったもの」と導入理由を明かす。「1試合で60%を超えたら、ストライク先行できている感じかなと」が目標。常にストライク先行で優位に立つプランだ。

 ブルペンでも“米国流”を導入。投げる前にシャドーイン、シャドーアウト、チェイスゾーン、ハートゾーンという言葉が飛び交う。同コーチは「シャドーアウトはストライクゾーンから1個外枠のボール。チェイスゾーンはワンバウンドになるかならないかのゾーン。ゾーンにそれぞれ名称があるんですけど、練習でそこを明確にすることで、どこに投げるかという意識がより強く働く」と説明した。

 最も重要なのは選手個々の意識。主力に成長した万波は「練習が受け身じゃなくなっている。集まって話す時って、コーチが話して選手は聞くだけっていうのが多いけど、今年は選手同士でも意見が飛び交っている。選手の考えでフォーメーション、距離感を変えた部分もある」と明かす。

 「チームとして勝つために考えて動いている。朝からウエートルームにいっぱい人が来て、準備したりトレーニングしたり。練習終わりもそう。チーム全体がそういう感じになっている。みんな結果が出て自信がついてくれば、勝てるチームになると思う。そう信じて僕も練習を頑張りたい」。主砲は心技体の“心”の部分の成長を実感する。

 2月の対外試合は9戦7勝1敗1分けと絶好調だった。昨季はオープン戦2位ながらシーズン最下位だったが、今季は違うという自信がある。新庄監督は「レベルアップはもうしていると思うので、これからは自然体で勝ち癖を付けるというところ。普通にやれば勝てるやろう?」と言う。就任当初から掲げてきた「1点を守る野球」を実践できる下地はできあがりつつある。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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