【スポーツ】パリ五輪マラソン代表選考に賛否「公平性が担保されていると言えるのか」「一発勝負で選ぶべき」「本番にペースメーカーはいない」「曖昧さは薄れた」との声

 パリ五輪男子マラソン代表は、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ第3戦となった東京マラソンが終わり、既に出場権を手にしていたMGC1位の小山直城、同2位の赤﨑暁に加え、同3位の大迫傑が代表に決定した。だが、その選考過程に賛否の声が集まっている。

 男子3枠のうち、昨年10月15日に行われたMGCで上位2人にパリ五輪切符が与えられ、残り1枠は福岡、大阪、東京のファイナルチャレンジ3レースで日本陸連が設定した2時間5分50秒を突破した記録最上位者か、突破者が現れなかった場合はMGC3位が代表に選出される規定になっていた。

 男子の設定記録は、2022年4月から23年3月の間の最高記録で、山下一貴が23年3月の東京マラソンでマークした2時間5分51秒を1秒上回るタイムとなった。

 MGCでは、実力と駆け引きがメダル獲得の大きなポイントとなる五輪本番と同様、ペースメーカーは採用されなかった。だが、残り1枠を争うファイナルチャレンジ3レースでは、全戦でペースメーカーが先導し、設定記録を突破するためのアシスト役を担っていた。

 昨年12月3日の福岡マラソンでは、細谷恭平が日本人最上位の4位で2時間7分23秒。2月25日の大阪マラソンでは国学院大の平林清澄が初マラソンの日本最高記録となる2時間6分18秒で優勝したが、設定記録に28秒及ばなかった。そして3日の東京マラソンでは西山雄介が2時間6分31秒で日本人最上位となったが、41秒及ばず涙をのむ結果となった。

 日本陸連の高岡寿成SDは、昨年10月15日のMGC後、「日本の中で選手を選出するに当たっては、同じ条件の中で選手を選んでいくことが必要だと思っている。コースに関しても、必ずしも平坦なコースではない、ペースメーカーが存在するわけではないといったところも、パリオリンピックのレースにつながると思っている」と話した。

 また、日本陸連ロードランニングコミッションリーダーの瀬古利彦氏は「どんな状況になっても走れる力を養うのがMGCだと思っている」としつつ、「コンディションを合わせられなかった選手は、もう一回チャンスがある。(選考の仕組みを)2段階で作っているところが良かったと考えている」とコンディション調整に失敗したなどの選手に対する“救済”の意味も踏まえた残り3レースの意義を説明した。

 では、女子の場合はどうか。男子と同日に行われたMGCでは鈴木優花、一山麻緒が上位2人に入り、細田あいは一山に7秒遅れの2時間24分50秒で3位となった。

 1月28日の大阪国際女子、3月10日の名古屋ウィメンズで、女子の設定記録2時間21分41秒(細田あいが2022年のロンドンマラソンでマークした2時間21分42秒を1秒上回る)を突破する選手が現れなければ細田が3枠目を手にする形だったが、MGCで細田から2分12秒遅れの7位だった前田穂南が大阪国際女子で日本記録の2時間18分59秒をマークした。細田がパリ五輪に出場するためには名古屋ウィメンズで日本人最上位となり、2時間18分59秒を突破することが条件だったが、左太ももの筋膜炎によるコンディション不良で欠場が決まり、パリ五輪切符は消えた。

 男子代表はMGC上位3人となったが、女子代表はMGC上位3人ではなくなった。この結果にSNSでは「これで公平性が担保されていると言えるのか」「陸連の言葉を借りるなら一発勝負で選ぶべきなのかなと思うけど」「スポンサーの絡みで一発勝負にできないのなら選手がかわいそうかも」「パリ五輪本番にペースメーカーいないのに違うレースをタイムだけで選考していいの?」「細田がかわいそすぎる」といった声が集まった。

 一方で「昔に比べたら選考基準の曖昧さが薄れた」「海外レースも参考にするべきでは」「分かりやすいシステムだと思う」「時間を重ねてより柔軟な仕組みになれば」「一発勝負は日本人の国民性に合ってないかも」といった反応もあった。

 女子のMGCファイナルチャレンジ第2戦となる名古屋ウィメンズは3月10日に行われる。前田穂南が2大会連続で五輪切符を獲得するのか、はたまた最終レースで日本新記録を突破する選手が現れるのか。息をのむ一日となる。(デイリースポーツ・鈴木健一)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス