【野球】7戦全敗の阪神は本当に大丈夫なのか?球団ワースト更新の現状を評論家が分析
「オープン戦、阪神5-6ヤクルト」(8日、甲子園球場)
阪神が5点リードを守り切れずに逆転負けを喫し、オープン戦7戦全敗と球団ワースト記録を更新した。開幕までまだ3週間を残す時期ではあるが、昨季18年ぶりのリーグ優勝と38年ぶりの日本一に輝いた岡田阪神に何が起こっているのだろうか。
甲子園球場にため息が渦巻いた。5点リードの八回2死一塁。まずは右翼・前川がファウルグラウンドに上がった飛球に対して目測を誤って落球。チェンジが一転、連続四球で2死満塁となり、今度は遊ゴロを処理した小幡が二塁へ悪送球して2失点した。
負の連鎖は止まらない。なおも2死一、三塁から、中堅・森下が左中間への飛球に対して落下点に入りながら、グラブに当てながらこぼし、さらに2失点。内野安打を挟んで代打・内山に同点の中前適時打を許し、トドメに2死一、二塁から、北村恵の遊ゴロを小幡が後逸して勝ち越し点を奪われた。1イニング4失策の拙守で一挙6失点。1万7073人が見つめた肌寒い甲子園に、何度も失望の声が広がった。
SNSでは「オープン戦とはいえ負けすぎ」「ペナントレースなら暴動もの」「嫌な負け方」「若手の守備面は不安要素」「主力との差がデカい」「こうなったらオープン戦0勝で開幕や」といったコメントが集まった。
岡田監督は「初めてやな、俺も。1イニング4失策って。2アウトからやろ?すごいことが起こるなあ」とあきれた表情を浮かべたが、「何にも言わん方が気が引き締まるんちゃうか?ごちゃごちゃ言わん方が」とあえて厳しい言葉を並べ立てることはなかった。
遊撃を本職とする小幡に言い訳の余地はないだろうが、左翼を守ることが多い前川は右翼で、右翼を主戦場とする森下は中堅での失策と、不慣れなポジションという要素はあった。それでも、本拠地・甲子園というハード面を考えれば、前川と森下にも不慣れという言葉で片付けてほしくはないプレーだ。
オープン戦7試合で12球団ワーストの11失策。リーグ優勝した昨年も6年連続リーグワーストの85失策を記録したが、ミスが失点に絡む場面はこれまでより明らかに少なかった。だが、この日は4失策が全て失点に直結した。
阪神OBの中田良弘氏は「岡田監督は守備を固めて勝っていくというスタンス。不慣れなポジションというのは、今日の試合が風が強いZOZOマリンならまだしも、甲子園では通用しない。オープン戦全敗をことさら気にする必要はないと思うけど、いくら昨年の日本一チームとはいえ、ここまで勝てないと少し嫌な感じがするもんだよ」と解説した。
中田氏が懸念材料として挙げたのは、失策を犯した若手選手の状況判断の甘さだ。「特に前川は、この前(6日・楽天戦、五回1死二塁からの左前打)も焦る必要のない場面でチャージした結果、ファンブルしてタイムリーエラーにした。試合状況、局面を読めてないっていうのが一番かな。彼は打つだけじゃなく、守ることも求められているだけにね」と苦言を呈した。
球団史上初のリーグ連覇を唯一無二の目標に掲げる阪神。レギュラー陣、主力投手陣は順調に調整を進め、開幕に備えている。だが、143試合の長丁場には想定外のアクシデントがあり、チーム力を試される場面が訪れる。『若手』『控え』と呼ばれる選手達の成長、底上げがあってこその悲願成就である。(デイリースポーツ・鈴木健一)