【野球】広島・田村飛躍ウラ側 心に刺さったヤクルト・村上の金言とは 対左の打率・400に得た手応え
広島・田村俊介外野手(20)の勢いが止まらない。オープン戦でも存在感を示して覚醒の気配が漂っているが、飛躍の裏側には、今月上旬に行われた侍ジャパン強化試合で交流したヤクルト・村上のアドバイスがあった。進化を後押ししている、憧れの存在からもらった“金言”とは。
20歳の若武者にとって、有益な3日間だった。トップ選手と過ごした貴重な時間を田村は「全員の打撃練習とかを見て、自分と違う部分を学びました。本当に良い経験になりました」と目を輝かせて振り返った。
プロで放った安打は8本ながら侍ジャパン・井端監督に才能を見抜かれ、異例の招集となった。「まさか自分がというのはありました」と驚きはあったものの「自分らしいプレーをするだけ」と意気込んで侍のユニホームに袖を通した。
特に、憧れだったヤクルト・村上からは大きな刺激を受けた。試合前日の5日には同組で練習。打撃練習を間近で目にし、「自分とは比べものにならないぐらいすごかった」と衝撃を受けた。
村上と会話できた時間は限られていたが、今季の飛躍につながる大きなヒントを得た。それは「投手と駆け引きする」ことの大切さだ。
これまで田村は「来た球を打つ」という感覚で打席に入っていた。しかし、外野のレギュラーを狙う今季。左打者の田村はキャンプから常々、「左投手の時でも、迷わずスタメンで使ってもらえるような選手になりたい」と口にしていた。
左投手を攻略するための方法を探っていた田村にとって、村上からのアドバイスは納得できるものだった。「打席に入る前に相手投手の傾向や、配球を想定して打席に入るようにはしています」。浅いカウントでは、打つ球種を絞る打席もあるという。
結果は数字に表れてきている。23日のオープン戦試合前の時点で、左投手に対して打率・400をマーク。たぐいまれな打撃センスと、打席内での考え方がかみ合いつつあり、本人も手応えを感じている。
新井監督も田村の成長に目を細めている。若い選手がアピールを続けている中でも「打撃は抜けている。打席内での対応力、修正力は目を見張るものがある」と絶賛するなど評価は高い。
開幕カードの相手となるDeNAの開幕投手は、左腕の東だ。「しっかり良い状態で開幕を迎えたい」と田村。憧れの村上からもらった金言を胸に、スターへの階段を駆け上がる。(デイリースポーツ・高橋涼太朗)