【野球】なぜ阪神は開幕戦で負けたのか この1敗を連覇への難しさとする良薬にできるか

 「巨人4-0阪神」(29日、東京ドーム)

 オープン戦とは全く異なる空気が漂う。シーズン開幕を待ちわびた熱気が心地いい。球団史上初のリーグ連覇を狙う岡田阪神が完封負けで開幕戦を落とした。それでも内容や過程に負けに至る理由があり、味もある。やっぱり野球は面白い。

 青柳と戸郷の投球内容を比較すれば、明らかに内容は青柳の方が上だった。戸郷は本調子ではなく、フォークが高めに浮き、いつ痛打を浴びてもおかしくなかったが、6回4安打2四球無失点。逆に青柳は去年とは違う球の強さがあったが、5回5安打1四球3失点で負けた。それも野球の面白さのひとつだ。

 三回1死一、二塁。近本の右前打と中野のセーフティーバントが内野安打となって迎えた局面。森下の右中間への打球を梶谷が渾身のダイビングキャッチ。低い確度で飛び出した打球。確かに抜けた-と思った。だが、DeNA時代にも見た記憶がある高さのあるダイブでグラブに収めた。勢いよく駆け出した中野が戻れず併殺。抜ければ一挙2点という走塁だったのだろうが、次打者は4番の大山。仮に抜けた場合に1点止まりになったとしても、なお二、三塁で大山を待つ走塁を選ぶべきではなかったか。最高の形で整えた先制機を嫌な形で手放した。岡田監督は「流れ変わったな、梶谷のところな」と好守に阻まれた場面を口惜しそうに振り返ったが、中野の走塁に触れることはなかった。

 五回無死二塁の守備。青柳がモーションを起こした投球動作を途中で止めたとしてボークを宣告された。右腕はなぜ?といった表情を浮かべていたが、阪神OBの中田良弘氏は「明らかにボークだね。俺も見てて『あっ、ボーク』って言ってたもん」と指摘した。

 無死三塁から戸郷を投ゴロに仕留め、1死三塁から佐々木の遊ゴロで三走・吉川の生還を許したシーン。前進守備を敷いた内野陣。カウント1-2から坂本は外角のややボールゾーンにミットを構えたが、青柳のシンカーは真ん中低めに入った。遊撃・木浪の右側へのゴロ。捕球に際して二塁寄りに重心が移り、本塁送球が難しい体勢にもなった。ワンステップを入れたが、懸命の本塁送球が少し浮いたことでタッチが若干遅れる形となり、先制点を許した。セーフのジャッジにリクエストを要求したが、判定は覆らなかった。

 紙一重のプレー。岡田監督は「そらバックホーム態勢やから、そら当たり前やから」と本塁送球の選択は当然だとした。中田氏も「0-0で1点を争う場面だし、ホーム送球だろうね」としたが、続けて「ただ、青柳の投球が逆球になって、それでゴロの飛ぶコースが変わり、木浪の捕球体勢が少し崩れ、送球が浮いたと考えるなら、タイミング的にはアウトにできただろうから、悔やまれる1球になったかもしれない」と解説した。

 誰もが興奮し、緊張もし、躍動することもあれば、空回りもするのが開幕戦。昨年は開幕戦を制して波に乗った。今年は出はなをくじかれた。岡田監督は開幕前に言っている。「今年は混戦になるやろな。去年のようにはいけへんよ」。開幕黒星スタートとなったが、チームが唯一無二の目標に掲げる連覇の難しさを感じる1敗になれば良薬になるはずだ。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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