【野球】「悪いのは立浪監督だけじゃない」初回でリクエストを使い切ってしまった中日ベンチの動きを評論家が指摘 OP戦首位も12球団唯一の未勝利
「ヤクルト5-2中日」(31日、神宮球場)
2年連続最下位からの巻き返しを期す中日が敗れ、昨季5位・ヤクルトとの開幕カードは2敗1分けで今季初勝利はお預け。広島、阪神、楽天が勝利したことで、12球団で唯一の未勝利球団となった。
なんとしても勝ちたいという思いが空回りしたのだろうか。初回1死から、二塁に飛んだ西川の打球がセーフと判定されると、立浪監督はリクエストを要求。だが、判定は覆らなかった。
さらに1死一、二塁の場面で、一ゴロをさばいた中田がベースカーバーのメヒアにトス。タイミング的にはアウトに見えたが、またもセーフのジャッジ。立浪監督は続けざまにリクエストを要求したが、映像ではメヒアが一塁ベースを踏む足を合わせられていなかった。またも判定は覆らず、初回1死の時点で2度のリクエスト権を使い切ってしまった。
一方、ヤクルトの高津監督も3点リードの六回、先頭の代打・村松の打球をオスナが捕球して一塁を踏んだがセーフと判定され、リクエストしたがこちらも覆らず。さらに無死一、二塁から、上林の一塁へのゴロを捕球したオスナがベースカバーのヤフーレにトスしたがまたもセーフ。高津監督はベンチを出ようとしたが、ここで嶋ヘッドコーチが止めた。
無死満塁となって、細川の遊ゴロ併殺打の間に1点こそ失ったが、最少失点でしのいだ。権利を1回残した七回2死三塁の攻撃。村松の一塁送球がワンバウンドとなった西川の遊ゴロがアウトと判定されるとリクエストを求め、今度は判定が覆って再びリードを3点差に広げる価値あるリクエストになった。
明暗を分けたリクエスト。2度の行使がいずれも失敗に終わって初回で権利を失い、試合にも敗れたことで立浪監督の判断に対して論じる余地が生まれてしまった。
だが、阪神OBの中田良弘氏は「リクエストは監督が球審にサインを伝達して求めるものだけど、全ての判断を監督に負わせてはいけないと思う。元々、立浪監督は疑問に思った裁定に対して間髪を入れずにリクエストを求める傾向が強いけど、やっぱり2個の目より4個の目、6個の目で判断した方がいい。悪いのは立浪監督だけじゃない」と、時には他のコーチ陣が進言するべきではないかと指摘した。
アグリーメントには、裁定からリクエストを求めるまでの具体的な時間的制約については記されていない。「速やかに」という記述はあるが、コーチ陣と素早く協議するぐらいの時間は許されるはずで、立浪監督がコーチ陣に意見を求めたり、コーチ陣が指揮官に意見を伝える環境整備も必要かもしれない。
中田氏は「初回に2回の権利を使ってしまっても、その後にリクエストを求めるような場面が訪れないかもしれない。だからやみくもに立浪監督の判断は否定しない。今回はヤクルトの嶋ヘッドが高津監督を止めたことによって権利が残り、その後のリクエストで追加点を得られた部分もあるからこそ、中日にはより一層、ベンチの一体感を求めたいと思った」と語った。
開幕戦は1点リードの八回に先頭・村上の打球を追った遊撃・ロドリゲスが飛球をスルーするというまさかの失策から、一挙5失点して逆転負け。2戦目も1-0の八回に松山が再び登板。先頭・長岡の遊ゴロをロドリゲスがアウトにしたが、安打と四球で背負った2死一、二塁のピンチでオスナに同点打を浴びて引き分けていた。
引き分けを挟んだ6連勝でオープン戦を10勝5敗5分けの首位で終えながら、今季初勝利がつかめない現状が悩ましい。3戦目のメヒアこそ5回4失点と崩れたが、開幕投手の柳は六回途中2失点(自責点1)、2戦目の涌井は七回途中無失点と好投。打線は昨季自己最多24本塁打を放った細川が3戦無安打に終わったが、新加入の中田が3戦2本塁打と期待通りの活躍を見せている。
「今年の中日は、去年までとはひと味違うと見ているよ」と中田氏。まずは、はじめの一歩を踏み出す白星をつかみたい。(デイリースポーツ・鈴木健一)