【野球】なぜ巨人は昨季王者・阪神相手に開幕25イニング連続無失点のNPBタイ記録を成し遂げられたのか? 阿部巨人の改革とは

 生まれ変わりつつある、と言っても過言ではない。巨人は昨年の王者・阪神との開幕カードで2勝1敗と勝ち越し。開幕から25イニング連続無失点のNPBタイ記録を成し遂げた。4年ぶりのリーグ制覇を狙う中、新体制となり守備力を重視する阿部巨人の“改革”を追った。

 まるで昨年の王者・阪神が見せた高い守備力のリプレーを見ているかのようだった。象徴的だったのは開幕戦でのワンプレー。観衆の度肝を抜いた。

 0-0で迎えた巨人の三回の守備。1死一、二塁のピンチ。阪神・森下の強烈な右中間への打球を右翼・梶谷が、ダイビングキャッチする超美技を披露した。一走・中野が飛び出しており、中堅のドラフト3位・佐々木(日立製作所)が一塁への送球を促し、梶谷は素早くスローイングした。捕球した二塁手・吉川からの送球が一塁手・岡本和へ。ダブルプレーが完成した。

 巨人・川相内野守備コーチは語る。「声の連係だったり、しぐさであったり、いろんなものも絡んで最後、岡本がちゃんと捕ってプレーが成り立った。ある意味、全てちゃんと、いかないとダブルプレーは起きない」。息の合った流れるような中継プレーで先制点を防ぎ、雰囲気もガラリと変えた。このプレーがきっかけとなり、NPBタイ記録の開幕25イニング連続無失点をマークした。

 昨季は2年連続Bクラスと歴史的な低迷にあえいだ。阿部新監督の方針は“守備力重視”。捕手出身の指揮官らしい発想で「打つって水物。ゼロに抑えていたら一生負けないから」と語り、野手の起用も「セ・リーグは守れないと出られない。そこは基本だと思う」とこだわりを見せた。その方針の下、昨秋と今春のキャンプで徹底した守備練習を実施した。

 川相内野守備コーチは「個々のレベルを上げるとともに、全員で全てのポジションで行う連係(が重要)というのを去年の秋からずっと、(選手に)言い続けてきている」。一人一人の捕球や送球のレベルをさらに上げ、連係プレーでは質を高めるとともに一体感を重要視。バッテリー、内外野の連係プレーに時間を割いた。チームの考えを徹底させることで意識改革を促した形だ。

 開幕2戦目には岡本和が浅い飛球をダイビングキャッチする好守も見せた。守備陣は生き生きと躍動し、ボールに食らいつき失点を続々と防ぐ。高い守備力、連係プレーもそつがなく、一体感があった。昨季までの一発頼みの野球から脱却し、変貌を遂げつつある。外野守備に不安を抱えていたメジャー通算178本塁打のオドーアの電撃退団は、“ケガの功名”とも言えるだろう。

 鉄壁の守備陣を形成しつつある阿部巨人が、セ界を席巻するかもしれない。(デイリースポーツ・伊藤玄門)

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